2000年のハリウッド映画の米国内興行収入は、約76億ドルを記録し、前年度の74億ドルをわずかに上回った。しかし、観客数は14億2,000万人となり、前年度よりも3%減少した。興行収入の増加は、鑑賞券の値上がりで補ったかたちだ。

ハリウッドのメジャー・スタジオの米国内におけるマーケット・シェアは以下の通り。
順位  スタジオ  劇場シェア  配給映画数
1  ディズニー  14.7%  28
2  ユニバーサル  14.5%  21
3  ワーナー・ブラザース  11.9%  28
4  パラマウント  10.5%  19
5  ドリームワークス  10.3%  12
6  20世紀フォックス  9.7%  20
7  ソニー・ピクチャーズ  8.8%  27
8  ミラマックス  6.3%  21
9  ニューライン・シネマ  5.2%  28
10  MGM  1.3%  12

 前年度に続いて首位を守ったディズニー。1億ドルを超す米国内興行収入を記録した映画は『ダイナソー』、『タイタンズを忘れない』そして『60セカンズ』の3作品。ディズニーは、米国外でも強かった。米国外での興行収入は13億ドルを記録し、米国外でも首位を守った。ちなみに、ハリウッド映画の米国外での興行収入は、64億ドル。アメリカの映画産業の強さを表しているといえよう。

 『グリンチ』の大ヒット(米国での興行収入:2億5,300万ドル)で第2位に踊り出たユニバーサル。他にも、『エリン・ブロコビッチ』、『ナッティー・プロフェッサー2』『クランプ家の面々』、『ミート・ザ・ペアレンツ』といったヒットに恵まれた。米国外での興行収入は第4位の7億1,100万ドル。

 ランク落ちして第3位となったワーナー・ブラザースが配給した映画で、1億ドル以上の米国内興行収入を記録したものは『パーフェクト・ストーム』のみ。米国外での興行成績は第5位の6億3,500万ドルとヒット作の少ない年だった。

 
 『M:I-2』だけで米国内2億1,500万ドルの興行収入を記録したパラマウントは第4位。年末にかけて公開された『ハート・オブ・ウーマン』(左写真)は短期間で1億ドル以上を稼ぎ出し、好調な年だったと言える。

 配給本数12本で第5位、そしてマーケット・シェア10%(前年度第7位:マーケット・シェアは4・4%)のドリームワークスにとって2000年は満願の年と言えるだろう。1億ドル以上の米国内興行収入を記録した作品は『グラディエーター』、『チキンラン』、そして『ホワット・ライズ・ビニース』の3作品。アニメの『エルドラドへの道』は外したが、実写映画で大きく躍進した。

 名門MGMとニッチな映画が得意だったニューライン・シネマはヒットに恵まれず、それぞれ下位となった。ヒット作のあるなしで、浮き沈みの激しさを見せつける2000年であった。

 今、ハリウッドではあらたな問題が起きている。それは、興行収入を支えてきた劇場の多くが経済的な破綻を迎えており、破産寸前となっていることだ。マルチプレックスが乱立したため、劇場同士が過当競争を強いられる。常時新着映画を上映しないと客足が途絶えてしまう上、維持費のかかる劇場。アメリカの劇場チェーン店6社が会社更生を申請しており、劇場経営が危機に瀕している。

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