TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

近年、ハリウッド観光した人なら「一体何ができるの?」と思わずにはいられない場所がある。スターの手形・足形で有名なチャイニーズシアターのある一角で、今、大がかりな工事が行われている。


 実は数年前までは、この地区はちょっと危ない場所だった。昼間でも、警官が腰に下げた銃のホルダーに手をかけながらパトロールするといったものものしい雰囲気。映画の都ハリウッドの心臓部とあって、何とか活気を取り戻したいとハリウッド市などが考えていた矢先、ハリウッド通りとハイランド通りの交差点の西北角の土地が売却に出された。しかし、行政機関には土地を買って開発する財力はない。切り売りもやむなしと思われていた矢先、これまで全米各地の再開発を行い成功に導いてきた大手開発会社「トライザックハーン」が購入し、同社を始め、ハリウッド市、ロサンゼルス郡などがお金を出し合って開発するプロジェクトがまとまったのである。   

ハリウッド/ハイランド再開発
計画地区の完成予想図
(左下がチャイニーズシアター )
Design by: Ehrenkrantz Eckstut & Kuhn Architects

 こうして、ハリウッド通りとハイランド通りの交差点の西北角、約6万坪の土地に、ホテル、劇場、巨大地下駐車場、レストラン、テレビスタジオなどを建設する、映画の都ハリウッド21世紀版の大プロジェクト(ハリウッド/ハイランド再開発計画がスタートした。


これが「バビロンの門」だ!
Design by: Ehrenkrantz Eckstut & Kuhn Architects

2002年アカデミー賞授賞式会場
となる劇場の完成予想図
Rendering by: Jamie Akers


ハリウッド/ハイランド再開発計画地区(3月)
左下がチャイニーズシアター
Photo by: Warren Aerial photography.Inc.
1996年に産声をあげたこの計画は、様々な交渉をクリアーし、設計案などを練り、1998年10月に、クインシー・ジョーンズをホストに迎え、公表イベントが行われた。「ハリウッド/ハイランド再開発計画」と名付けられたこのプロジェクトの全貌が明らかにされ、工事の始まりを宣言した。

 トライザックハーンの「ハリウッド/ハイランド再開発計画」広報担当のベス・ハリスさんによると、「5月の時点で、工事は4分の1が済みました。地下の巨大駐車場の主な工事がほぼ終わり、これから地上の建設工事が始まります。土台作りにかけた時間よりも、地上の建築物の建設は短いですから、今後は日に日に、このハリウッド/ハイランド再開発計画地区の景観が変わって行くでしょう」だそうだ。


 「ハリウッド/ハイランド再開発計画」は「映画の都ハリウッド」作りが目標。地域内には、不朽の名作「イントレランス」にちなみ、バビロンの巨大門が再現されるほか、アカデミー賞授賞式を行う劇場、プレミア規模の映画館を含むシネマコンプレックス映画館が作られ、オフィスビルには映画関係会社の事務所を誘致する。また、セレブ御用達のレストラン(スパーゴなど)を複数経営するウォルフガング・ペックが仕掛けるボールルームは、セレブはもちろん一般人からもすでに熱い視線を受けている。


トライザックハーンの事務所には建物の内装に
使うタイルやカーテンの見本が置かれている

トライザックハーンの
ベス・ハリスさん

 先日、先陣を切って地下鉄駅がオープンしたが、この後、2001年の秋に、劇場、駐車場、レストラン、そしてホテル(以前ホリディ・インだったホテルで、現在外観も含め大改装中)という順でオープンする予定。来年秋のグランド・オープニングでは、アカデミー賞の主な受賞作品メドレーのミュージカルが上演されるほか、パーティーを複数開催する計画だ。1週間くらいの間、毎晩パーティーをするのか、1夜に数カ所で行うかは未定だが、チャリティー・チケットを出すことは決まっている。有名人たちが続々と詰めかけることまちがいなしのグランド・オープニング。ロス旅行を計画中なら、時期を合わせてみては。




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