TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 6歳の誕生日プレゼントはウルトラ特攻隊のヘルメットで、7歳の時は仮面ライダー自転車をリクエストし、小学校に上がるまでは幼なじみと怪獣ごっこに明け暮れ、夏祭りには家(神社)の境内で怪獣映画の上映会という環境で育った私が、見逃してはならないイベント「G-FEST」が、7月14日(金)~16日(日)、ハリウッドのルーズベルト・ホテル(チャイニーズ・シアターの斜め前)を会場に開催された。

 もともと、雑誌「G-FAN」の読者の集いとして開かれていたこの催し、ゴジラだけでなくガメラ、ウルトラマン、仮面ライダーなど日本の特撮映画に層を広げ、今年で6回目となった。


 実はゴジラはアメリカではとてもメジャー。というのも、ゴジラは、ケーブルTVや子供がTVを見る時間にオンエアーされ続けていたから。今でこそポケモンになってしまったが、「バットマン」や「スーパーマン」と一緒に「ゴジラ」も大暴れしていたのである。


サインと一緒に好きなキャラクターを
手書きで書いて渡す雨宮さん

「ゴジラ対デストロイヤ」上映後のQ&A

 日本からゲストに呼ばれたのは、初代「ゴジラ」のスーツマン(ゴジラの着ぐるみの中に入って演じる役者)中島春雄さんを始め、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」など円谷映画のスタッフとして活躍した有川貞昌さん、平成ゴジラ・シリーズからは、特撮監督の川北紘一さん、デザイナーの酒井ゆうじさん、シリーズ2数作に出演した小高恵美さん、スーツマンの薩摩剣八朗さん、「ゴジラ対キングギドラ」のアンドロイド役が印象的な日本でコメディ俳優として活躍のR.スコット・フィールドさん、初代ガメラの監督湯浅憲明さん、スタントマン・俳優としてウルトラマンティガなどに出演した北岡久貴さん、ゼイラムなどの監督・イラストレーターの雨宮慶太さんの10人。そうそうたる顔ぶれに、アメリカの特撮オタクは大喜びだった。ゲストらは、アメリカ人で日本の特撮ジャーナリスト数人とのパネルディスカッションや、サイン会、ホテルにほど近いエジプシャンシアターで同時開催された特別上映会のQ&Aなどを精力的にこなした。

 取材に行ったのにもかかわらず、予想以上の反響で、通訳が足りず困っているVIPゲスト陣を見過ごすことができず、通訳を買って出た私は、思いがけず貴重な体験を味わうことができた。

 アメリカ人のファンと、彼らの「憧れの人々」との気持ちの橋渡しをする通訳。「デンバーから来ました。尊敬するあなたに会えてとても幸せです」「初代のガメラはサイコーです。またガメラを作って下さい」「オキシジェン・デストライヤについてなんですが…」と、白人、黒人、メキシカン、東洋人のアメリカ人が目を輝かせ、興奮気味に話す姿を目の当たりにして「日本映画スゴイじゃん!」とこっちも感動してくる。


ゴジラのミニュチュアについての酒井さんの講習を熱心に聞くアメリカ人ファンたち

 何だか日本人であることを(「誇りを」飛び越えて)自慢に思う瞬間が何度もあった。本当に、人々を夢中にさせるものは、文化や言葉は関係ないっ!「ハリウッド映画=1番」と思いこむことが多いけど、劇場を満員御礼にした1954年の「ゴジラ」上映をアメリカ人のファンと一緒に観て、「こりゃスゴイ映画だ」と再認識させられた。これだけアメリカ人を、ハリウッドの映画人をも魅了する日本の怪獣・特撮映画。世界を席巻するハリウッド映画のアイデアの源は、実は…なのかもね。


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