TEXT BY 岩下慶一(FEATURE PRESS)

 ハリウッド発信のニュースをお伝えし続けて来たeigafan.com「ハリウッドレポート」だが、今回はじめて日本人俳優が登場する。米国で俳優活動を行っている日本人俳優は少数ながらいるのだが、実績を上げている人となると皆無に近い。その中で唯一気を吐いているのがご存知 加藤雅也氏だ。「Godzilla」('98)での雄姿を覚えている方も多いと思う。eigafan.com独占、加藤雅也スペシャルインタビューをお送りしよう。

 加藤さんが米国に単身乗り込んできたのは今から6年前。無名の俳優ならまだしも日本で大スターだった加藤さんが何故ゼロからの出発をしなければならないのか?というのがハリウッド行きを決めた当時の周囲の反応だったようだ。これに対し加藤さんは「映画の頂点とされるハリウッドがどんな所か見てみたかったから」とあっさり答える。俳優というより自分に厳しい仕事人というイメージの加藤さんにとって、安定などは取るに足らないものらしい。

 日本人が海外で一番苦労するのはやっぱり言葉。加藤さんにとってもやはり英語のカベは厚かった。ハリウッドで役を勝ち取るには訛りのない英語を話す事が絶対条件。最初の2年間はアクセントを徹底的に勉強したという。「とにかく英語が駄目では話にならない。徹底的にやりましたね」しかし、映画の英語となると奥が深い。役によってははっきりと発音し過ぎると良くないものもある。「昨日どこにいたんだ?みたいな単純なセリフ一つ取っても、いろんな言い方がある。監督はいろんな要求をしてくるから本当に大変ですよ」演技はもちろん英語の方も研鑚を積まなければならない。凡人には気の遠くなるような話。

 日本映画で何度も主役を張っている加藤さんだが、ハリウッドの製作現場はどのように映るのだろうか。一番大きな違いはスタッフの年齢だという。「とにかく若いスタッフが多い。監督やカメラマンにも僕より若いのが結構いる。面白い事をやる才能なら、経験が浅くてもよしやってみろ、と言ってくれるのがハリウッドでしょうね」チャンスの国アメリカ、ハリウッドももちろん例外ではないのだ。

 英語と演技のレッスンをし、英語の台本を覚え、オーディションを受け、プロデューサーやディレクターと打ち合わせをこなす。日々のスケジュールはかなりタイト。その合間を縫って帰国し、日本での仕事をこなしている。何故そんなにしてまで、という質問に、仕事師加藤雅也はしばらく沈黙した後言った。「やっぱりいつの日か、やったなあという作品を作りたいからだね」


気さくにインタビューに
答える加藤さん



ヘッドショット

 先月、加藤雅也のオフィシャルホームページがオープンした。(http://www.jap.co.jp/masaya)ハリウッドでの活動を通して出会った人々、面白い出来事、感じた事その他、加藤さんは何と毎日書き込んでいる。「雅也は毎日遊んでる訳じゃないって所を見せようと思ってね」と照れ隠しのジョークを飛ばす加藤さんだが、本当は、日本にいるファンや仲間に本当のハリウッドがどんな所か知らせる事が目的だという。「僕が肌で感じたハリウッドをそのまま伝えているページです。ハリウッドはとんでもなく厳しいところ。本当のハリウッドの姿を知って、それでもチャレンジしたいという俳優さんや若い人達がいたら、飛び込んできたらいい。その為にもいい前例になれるように頑張るよ」加藤雅也がジャッキー・チェンやチョウ・ユンファに続く東洋人の新しいヒーローになる日も遠くなさそうだ。 最後に、ハリウッドとは一言で言うとどんなところかという質問に、「恐るべし、だよ、ワッハハハ」と豪快に笑っていた。


ハリウッドの仲間たちと

自らパソコンを操作する加藤さん



<<戻る


東宝東和株式会社