同協会の会員は、現在6394人で、投票権を持っているのはその内の5722人と前回お伝えした。投票権を持つ会員と、そうでない人の違いは、年齢に関係する。アカデミー賞の投票権は、世界の映画賞の決定権と言っても過言ではない。だから、いい加減な投票=映画を観ないで投票することはできない。しかし、投票権を持っていても、寄る年波には勝てず、なかなか映画を観に行けなくなってしまう会員も多くなってきているのは、アカデミー協会が74年の歴史を持っていることで明らかだ。アカデミー会員は、各映画会社などの協力のもと行われる、アカデミー賞事務局内の試写会に招待されたり、作品のビデオが送られてきたりするという特典があるが、それでも作品をほぼ全て網羅するのは相当の体力がいる。そこで、「投票権リタイア会員」が存在しているのである。また、それ以外のなんらかの理由で投票権を放棄している会員もいる。こうした会員が672人いるのである。
映画に携わる人なら必ずといっていいほど憧れるアカデミー協会の会員だが、その会員になるには何が必要なのだろうか。
設立当初は、100ドルの小切手を払えば、ほぼ誰でも会員になれたが、現在、会員への道のりは厳しく、狭き門になっている。アカデミー賞にノミネートされた人は無条件で会員になれるが、そうでない人は、アカデミー協会長の推薦が必要だ。言い換えれば、オスカーレースに参加しないかぎり、コネでしか入れないのである。
|

ビルの入口。1階のロビーと4階はギャラリースペースになっていて、一般に公開されている
©AMPAS® |
|

アカデミー賞事務局ビル前にあるバス停。ポスターはしっかりアカデミー賞のポスターだ
©AMPAS® |
|