TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 『ファイナルファンタジー』インタビュー <その2>

 前号に続き、『ファイナルファンタジー』のインタビューをご紹介する。第2回目の今号は、プロデューサーの会田純氏、アニメーション監督のアンディ・ジョーンズ氏の登場だ。


■プロデューサー 会田純氏
Q1:スタジオの場所にホノルルを選んだのは?
会田氏(以下A):日本には優秀なアーティストがたくさんいるけど、才能や技術を生かす場が少ない。映画の仕事はめったになくて、テレビのCMやニュース番組しかCGは使われない。一方、ゲームやハリウッド映画ではCG映像の需要がどんどん増えていく。そこで、映画作りの経験を養い、高水準のCG映像を送り出すスタジオを作ることになった。

 スタジオ立ち上げの際、「ハリウッドのスタッフをできるだけ多くスタジオに入れたい」というのがあったから、日本だと難しいとアドバイスしたんだ。最近は、日米のアニメにアジアの人たちが参加しているので、そうしたアジアの人たちは喜んで東京に来るけど、アメリカ人が東京で3年暮らすのは、文化、生活などすべての面においてすごく難しいからね。逆に日本人がいきなりロサンゼルスに来ても、なかなか順応しきれないとも思った。中間地点のハワイなら日本語もかなり通じるし、日本食も豊富。もちろんアメリカだからアメリカ人も来やすいしね。
米系航空機会社に勤務していた会田さんは、映画プロデューサーになるとは夢にも思わなかったという
Q2:スタジオの国籍構成は?

A:60%がアメリカ、カナダ、ヨーロッパなどの英語圏出身でハリウッド映画経験者。そして、ハリウッド映画未経験の日本人は約80人連れてきた。そのほか、ハリウッドで仕事をしていたアジア系の人が何人かいる。

Q3:経験者が未経験者に教えた?

A:スーパーリアルCG映像なんてスタジオの誰も作ったことがなかったから、教えると言うよりも、一緒に開発していくという感じだった。才能のある人は国籍に関係なく、リーダーになっていったよ。
Q4:監督、共同監督、アニメーション監督と監督が3人いますが、それぞれの役割は?

A:ストーリーは坂口監督が考え、彼がOKを出した絵コンテに基づいて作っていったんだけど、例えば、主人公がジャンプしてガラス窓を突き破り破り向こう側に着地するシーンがあるとしよう。主人公の動きを具体的に指示するのがアニメーション監督アンディ・ジョーンズの仕事。その動きを実際に付けるのが主人公の担当アニメーター、ロイ・佐藤の役目。割れたガラスの破片の動きは別の担当者。背景はまた別の担当者。着地したときのカメラの揺れや、照明、武器なども別々の担当者がいる。それらを全部重ね合わせてできたものに対してOKを出すのが監督なんだ。そのアシスタントをしていたのが榊原だった。でも、坂口監督は超多忙で、OKが出ないと作業が次に進まないのに、ホノルルにいないことが度々あった。そんな時に、榊原が代わりにOKを出す役割を担うことになり、結局、共同監督ということになったんだ。


■アニメーション監督 アンディ・ジョーンズ氏
Q1:スクウェア・スタジオに入ったいきさつは?

A:アニメーション・スーパーバイザーを担当したハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』('98)の制作が終わってすぐに、知り合いからこのプロジェクトのことを聞いて興味を持った。ゲームはやったことないし、話を聞いてクレイジーなことするなぁと思ったけど、「新しいジャンルに挑戦するんだ」と言われて参加することにしたよ。

Q2:好きなシーンは?

A:キスシーンだね。全体的にモーションキャプチャー(俳優の体の動きを、特殊な装置を使ってそのままコンピューターに取り込む)を使って、キャラクターの動きをつけたんだけど、キスシーンはそれを使わずゼロから作ったから。ほかにも、絵コンテよりもリアルにできた、ジープがクラッシュするシーンも好きだね。
アンディと坂口監督(ロスのプレミアにて)


*来週は、ミン・ナ、ペリー・ギルピン、ドナルド・サザーランドの出演者3人と、アニメーターのロイ・佐藤氏のインタビューです。お楽しみに!


文&写真:シネマ・ナビゲーターはせがわいずみ(フィーチャープレス)
Text & Photo by Cinema Navigator Izumi Hasegawa


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