TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 ハリウッド歴史探訪 その6 元アカデミー賞授賞式会場“パンテージズ劇場”
 チャイニーズ・シアターから約1.5キロ東にあるパンテージズ劇場は、1930年に作られた、ハリウッド黄金時代を代表する劇場。

 かつてアカデミー賞の会場にもなったこともあり、ハンフリー・ボガートやビビアン・リー、フランク・シナトラなどがこの劇場のステージでオスカーを手にして感激のスピーチを繰り広げた。また、『スパルタカス』('60)、『クレオパトラ』('63)などのプレミアも開かれ、映画やミュージックビデオのロケにも使われた。

 『ボディーガード』('92)の、ホイットニー・ヒューストンがコンサート中にケビン・コスナーに助けられるシーンでのステージと客席はこの劇場で撮影された。『バットマン・リターンズ』('92)では、パーティーのシーンにロビーが、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』('99)はロビーの階段、マイケル・ジャクソンの「スリラー」ではステージがそれぞれ使われた。
ハリウッド通りに面したパンテージズ劇場。斜め後ろには有名なキャピトルレコードがある
Photo by John Edward Linden
 現在は、ブロードウェイミュージカルの「ライオン・キング」がロングラン上演されているので、ロケはしばらく行われていない。劇場向かいには地下鉄駅もあり、チャイニーズ・シアターのあるハリウッド&ハイランドや、ユニバーサル・スタジオからのアクセスも便利だ。
 1930年6月4日に、ギリシアからの移民で興行主として成功していたアレキサンダー・パンテージズが建てたことから“パンテージズ劇場”と名付けられ、こけら落としにMGM映画『The Floradora Girl』が上映された。

 トーキー時代になって最初に作られた劇場の一つということから、当時としては世界最新の音響設備の整った劇場だったそうだ。そして、「すべての人がゴージャスな気分に浸れること」をモットーに作られただけあって、劇場入り口や客席の天井、ロビーは目を見張る豪華さ。1950年代にはRKOの劇場となり、1949年から、『ベン・ハー』('59)が作品賞を受賞した59年まで、10年間アカデミー賞の授賞式会場となった。
見よ! このゴージャスな内装!!
Photo by John Edward Linden
 近年、1千万ドルをかけて改装工事が行われたこのパンテージズ劇場を満喫するには、「ライオン・キング」のミュージカルを観るのもいいが、劇場案内ツアーに参加することを薦める。値段は若干高めだが、2人の俳優がボケとツッコミでおもしろおかしく劇場内を紹介してくれる。控え室やVIPルーム、機械室(建設当時のマシンもあってビックリ!)など、普段入れないところも実際に見て回れるのが嬉しい。

 ハリウッド黄金時代を存分に感じることができるパンテージズ劇場。ハリウッド観光の折にぜひ訪れてみよう。
時折飛ばす寒いギャグもアメリカらしい?! ガイドの2人
Photo by Izumi Hasegawa
◆Panteges Theatre(パンテージズ劇場)
6231 Hollywood Blvd., Los Angeles, CA 90028
Tel: 323-467-7990
Fax: 323-467-7998
劇場案内ツアー(Vintage Venues Tour)
火~金 午前11時から(要予約)
大人20ドル、子ども15ドル
団体割引あり(5人以上)
■Panteges Theatre(パンテージズ劇場)> http://www.vintage-venues.com

文=シネマ・ナビゲーターはせがわいずみ(フィーチャープレス)
Text by Izumi Hasegawa/Cinema Navigator


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