TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 第74回アカデミー賞授賞式サイドストーリー
 第74回アカデミー賞授賞式は、これまでのものと様々な面で違っている。その違いを、アカデミー事務局広報部長のジョン・パブリックさんの協力を得てまとめてみた。

<アカデミー賞授賞式の恒久会場となるコダック・シアター>

 近年は、シュライン・オーディトリアムとドロシー・チャンドラー・パビリオンを行ったり来たりしていたアカデミー賞授賞式。しかし、もうジプシー生活とはオサラバだ。今年は待望のアカデミー賞授賞式恒久会場となるコダック・シアターでの開催となった。アカデミー賞がハリウッドに戻ってきたのは実に42年ぶり。ちなみに、最後にハリウッドで開かれたのは、1959年の第32回で、会場はパンテージズ劇場だった。
沿道から観たコダック・シアター入り口と、
観客席の一部
<会場前の一般観客席は申し込み抽選システムに>

 会場前のレッドカーペット沿いに設置されるファン用の観客席(ブリーチャー)が、事前申し込みシステムになった。これまでは早い者勝ちだったので、会場前にテントをはって泊まり込む人もいた。それにより様々な面で弊害が出ていたので、今年から申込用紙に必要事項を記入し、事務局に郵送するシステムに変わった。

 申し込みの際には、氏名、住所はもちろんのこと、運転免許証やパスポートなどの番号も記入し、またパスポートサイズの写真も同封しなければならなかった。これは、申込者の犯罪歴等をチェックするため。このシステムのおかげで、アカデミー賞授賞式をより安全に進行できるというわけである。
リムジンが止まるレッドカーペット入り口には
大きなオスカー像の置物が
 犯罪歴チェックに見事パスした申込用紙の中から、先着400名が選ばれて観客席に座ることができたのだが、彼らには顔写真付きのパスが渡され、また座る場所も決まっていた。観客席への入場は、それぞれ席の場所により時間を区切って行われたので、パスを持っている人が会場前に泊まり込むということもなくなった。一大イベントのアカデミー賞に、こうした効率的かつ安全なシステムを、なぜ今まで採用しなかったのだろう…。

<警備の厳しさはセレブも一般も同じ>

 去年も警備が厳しかったが、今年はもっと厳しかった。今年の警備で一番驚いたのが、会場前の歩道に群がる“沿道のファン”でさえ、ボディチェックと荷物検査が行われたことだ。柵で区切られ、出入り口規制が敷かれた歩道には、空港にあるような金属探知器のゲートを通らないと入れないようになっていた。探知機でアラームがなるとボディチェック、もちろんカバンの中を警備員に見せなければならないという念の入れようだった。
12年もアカデミー事務局広報部長をつとめるジョン・パブリックさんは、「疲労困憊です。ゆっくり休みたい」と最後にコメントしてくれた
 こうしたボディチェックは、ファンだけではない。取材陣ももちろんだが、授賞式に出席するセレブでさえ金属探知器のゲートをくぐらされた。ハリー・ベリーやトム・ハンクスがパスを見せてくぐっている姿には苦笑するが、念には念をと言う事だろう。有名人だからといって特別扱いはないのだ。しかし、ある記者によると、空港の探知機でいつもアラームを鳴らしていたアクセサリーをつけてゲートをくぐったところ、何も音がしなかったという。きっと、爆弾や銃などの大きい金属に反応するようにセットされていたのではと話していた。

 また、コダック・シアターのあるハリウッド&ハイランドの地下駐車場および地下鉄駅は閉鎖され、周辺道路も閉鎖または交通規制が敷かれた。
妹と仲良く手をつないでレッドカーペットを歩いたニコール・キッドマン
<初の女性プロデューサー誕生>

 ことしは、授賞式のプロデューサーに初めて女性が選ばれた。彼女の名は、ローラ・ジスキン。これまで『プリティ・ウーマン』や『恋愛小説家』など、数々のヒット映画をプロデュースし、そうした作品群の中にはアカデミー賞を受賞した作品もある。

文&写真=シネマ・ナビゲーターはせがわいずみ(フィーチャープレス)
Text & Photo by Izumi Hasegawa/Cinema Navigator


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