TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 夏の大作映画真っ盛り!

 5月の第一週に公開された『スパイダーマン』を皮切りに、次々と夏の大作映画が公開されている。今回は、最近ハリウッドで話題になってる大作を、個人的なレビューを交えてレポートしてみよう!
 最近ハリウッドで公開され、ベスト10入りしている作品は、5月27日メモリアルデーに公開された『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』、それを追い抜いて2週連続1位を獲得した、ベン・アフレック主演の『トータル・フィアーズ』、『メメント』(00)のクリストファー・ノーラン監督がアル・パチーノ、ヒラリー・スワンク、ロビン・ウイリアムズというオスカー俳優3人を起用したドラマ『インソムニア』、エディー・マーフィーによって発掘されたコメディアン、クリス・ロックと名優アンソニー・ホプキンスによるジョエル・シューマッカ―監督のコメディー『9デイズ』など。
巨大なポップコーンなどを売っている映画館の売店
 そして、6月中旬の現在において上記の全ての映画を超えてトップに踊り出ているのが犬が主人公のアニメーションを実写化した映画、『スクービー・ドゥー』だ。

 おかげで、『スウィンガーズ』('96)のダグ・リーマン監督によるマット デイモン主演のアクション・スリラー『ボーン・アイデンティティー(原)』は2位でのスタート。『M:I-2』以来のジョン・ウー監督作品でニコラス・ケイジ主演の『ウインドトーカーズ』は初登場第3位のスタートとなってしまった。『ウインドトーカーズ』は昨年のクリスマスシーズンでの公開予定だったものがテロの影響などで何度も公開が延期され、やっと公開されたにもかかわらずあまり喜ばしい結果出ていないところが残念である。
 とは言ってもこの映画、第二次世界大戦が舞台ということで、敵役は日本人。大ヒットして、おかしな日本人のステレオタイプがアメリカに広まっても困るので日本人としてはホッとしているもの事実だが…。

 『パール・ハーバー』(01)以降、『ウインドトーカーズ』といい、コーエン兄弟製作ブラッド・ピット主演で予定されていた『To the White Sea』といい、日本人が敵役になる映画が増えているような気がする。娯楽映画に一々目くじらを立てるわけではないが、日本人を倒すヒーローを見るのはさすがにあまりいい気はしない。
アメリカの映画館:中には24の映画館が入っている
 ただ、『パール・ハーバー』がアメリカより日本で成功しているのを見ると日本人は自分が悪役、敵役として描かれる事にあまり抵抗感がないらしい。ということで、ジョン・ウー監督の作品も、日本での興行には期待できるかも!?

 このように大作といえども、公開された週にすら1位を獲得するのが難しい夏の映画商戦。僕も自分の映画製作で忙しかったため、次々に公開となる映画を全て見るというわけにはいかないのだが、6月21日に公開が始まったスピルバーグ監督作品、トム・クルーズ主演という豪華な顔合わせが実現した『マイノリティ・リポート』を見てきた。
 正直に言うと、少し期待しすぎたせいか、ちょっと肩透かしを食らった感じ。この映画、スピルバーグが監督しないほうが良かったのではないかと思う。子供が主役ではないし、夢があるわけでもない。

 こういうタイプの未来ものは、どちらかというとリドリー・スコットやジェームズ・キャメロン、もっと濃いところで最近『パニック・ルーム』をヒットさせた鬼才デヴィッド・フィンチャーなどがやっていたらもっと面白くなったかも。
果たしてどの映画がこの夏のヒット作となるのか?
 大体、スピルバーグの未来もの作品にザラザラした画調はどうしても合わないと思うのは僕だけだろうか?とは言え、これは僕の個人的な意見なのであしからず。今は公開されたばかりで興行収入などは分からないが、日本で公開されたときには自分の目で確かめてみてほしい。

 これからも『MIB2』、『シックス・センス』('99)のM・ナイト・シャマラン監督、メル・ギブソン主演の『サイン』など面白そうな作品が待ち構えている。

さー、夏は始まったばかりだ!皆さん、この夏一番お気に入りの映画を探しに映画館に急ごう!


<<戻る


東宝東和株式会社