TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 小さな映画が大きくなる時!? 『My Big Fat Greek Wedding』大ヒット!

 ハリウッドでは毎週、インディーズの小さな映画からメジャー大作映画まで数多くの映画が封切られる。どんなに制作費がかかっていても、儲からなければすぐに消えてしまうし、逆にどんなに低予算の映画でも人気が集まれば上映する映画館も増えロングランとなる。そこには、まさに生き馬の目を抜くような戦いが繰り広げられているのである。

 典型的な例で言えば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。ニューアートシアターというインディペンデント映画と海外映画を主に取り扱う小さな映画館で上映されたこの映画は、インターネットを駆使した草の根的な宣伝とケーブルTVで放送されたニセドキュメンタリーなどのプロモーションが功を奏して人気が高まった。そして夏のメジャー系超大作映画と肩を並べるほどの数の映画館で上映されるようになり、最終的には興行収入100億円を超える大ヒットに繋がったのだ。ちなみに、この映画の直接制作費は約一千万円と言われている。
 そして、この秋『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ほどの低予算ではないが、ハリウッドの中ではかなりの低予算映画が同じような大ヒットの兆しを見せている。『My Big Fat Greek Wedding』というコメディー映画がそれ。

 この映画、最初は少数の単館劇場でしか上映されていなかったのだが、ジワジワと人気を獲得し、今では全米どこの映画館でも上映されている。ちなみに、現在の興行収入は100億円を突破しメガヒット街道まっしぐらと言った感じである。
『My Big Fat Greek Wedding』ポスター:
今では至る所で目にする…
 気になる内容なのだが、タイトルから想像出来るように、ギリシャ式の結婚式をおもしろおかしく描いた映画だ。(ちなみにGreekとはギリシャのこと。)実話を元にしたストーリーだそうで、主演女優であるNia Vardalosが脚本を書いている。また、プロデューサーにトム・ハンクスが名を連ねているのも面白い。

 ストーリーはギリシャからアメリカに移住した家族とその親類たちに囲まれて育った30代の女性が、素敵なアメリカ人男性と知り合い、恋に落ち、結婚しようとする。
EDWARD20映画館:単館上映から23週目にはこんな大きな映画館で上映されるような映画に成長した
 しかし、彼女の家系はギリシャ人以外と結婚した者がいない。ギリシャ人男性以外と結婚を許さない頑固な父親は彼女の結婚に大反対。なんとか父親を説き伏せて結婚に持ちこむのだが… 今度は結婚相手の男性とその両親がギリシャ式のやり方に戸惑ってしまうというドタバタコメディー。

 文化の違いによって引き起こされる面白可笑しいエピソードの数々は様々な人種が入り混じって住んでいるアメリカに住む人々にとって、とても身近に感じられる内容だ。このような内容の映画は日本では受け入れられないような気もするが、地方によって冠婚葬祭の内容が違い戸惑うというのはよくある話し。
ポップコーンとならび映画館の定番プリッツェル。
家族連れも多くプレッツェルをほお張りながら観客達は大笑いしていた
 極端に性格付けされたキャラ、直球のストーリーなので、ヒネリを期待すると物足りないかもしれませんが、肩を張らず素直に笑える映画。日本の人々にもきっと楽しんでもらえる事間違いなしだ。センスの違いなのかアメリカ製コメディーが苦手な僕も楽しめたので大丈夫でしょう!日本でも是非ヒットして欲しい映画である。
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