TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 ジャッキー・チェン ついにハリウッドスターの仲間入り!

 現在アメリカでは、ジャッキー・チェンの新作映画『タキシード』が公開されている。批評家や、すでに作品を見た観客の反応はかなり悪いこの作品だが、この時期に公開される映画としては興行的にそんなに悪くない。
 映画のあら筋は、冴えない運転手(ジャッキー・チェン)が自分の仕える富豪が持っていた不思議な力のあるタキシードに腕を通し、もの凄いパワーを得るというものだ。日本のアニメでもこんな安直なストーリーは見当たらないと思う。実際、観客の反応としては「ジャッキーの映画はストーリーよりも彼のアクションがみどころ」と言って映画館に足を向ける人が多い。

『タキシード』ではその期待のアクションすら効果的に使われていないのが本当のところなのだが、それでも興行的に成功しているのは、ジャッキー・チェンが今まで築き上げてきたネームバリューの成果というのは間違いなさそうだ。
少し老いが目立ってきたジャッキー
これからも頑張って欲しい
 そして、今ジャッキーのハリウッドスター説を決定的にするようなニュースが飛び込んできた。そのニュースとは、チャイニーズシアターの前にある道路に埋め込んである歴代のハリウッドスター達の手形にジャッキー・チェンが仲間入りすると言うものだ。ちなみにスターナンバーは2205番目。場所的には今年アカデミー賞の授賞式を開催したコダックシアターの入り口から25フィートのところらしい。

 10月4日にこの知らせを聞いたジャッキーは、記者に対し「ハリウッドに来てスター達に会った時、私も必ずこの中に入ってやると思ったのを今でも覚えている。この感謝の気持ちを皆さんに伝えるために、より良い映画を作っていきます」と答えた。
ジャッキー・スターマーク
これで、名実ともにハリウッドスターだ
 ラッシュアワー1&2でジャッキーと組んだブレット・ラトナー監督も「ジャッキーはチャップリンやバスター・キートンを大変尊敬している。そんな彼がハリウッドブルーバード(チャイニーズシアターのある通り)をそれらスター達と共有できるなんて、そんな素晴らしい事はない」と祝福を送っている。
 アジアではすでにスターの座にありながら、ハリウッド進出を目指し、何度も失敗を重ねながら48歳にして、ついに目標を遂げたジャッキー・チェン。アジアと北米を制した真のスターが次に狙うのは、ずばり“オスカー”だ。ハリウッドに進出した昨今、昔の作品を知っている日本人のジャッキー・ファンには少々がっかりさせられる作品が続いているが、この無尽蔵の夢とバイタリティーを持つジャッキーなら必ずやアメリカ人もアジア人も満足させてくれるような素晴らしい作品を作ってくれることだろう。

 それにしても、英語の発音に関しては今だ問題が残るにも関わらずスターとして認められてしまったジャッキー・チェンは偉大である。留学生としては本当に勇気付けられる思いだ。
アカデミー賞の会場コダックシアター
ジャッキーの手形はこのすぐ近くに
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