TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 ハリウッド冬休み映画合戦 前半期リポート
 すでに分かれ始めた天国と地獄!

 さて、11月15日に待望の『ハリーポッターと秘密の部屋』がついに幕を開けた。映画館の前には子供達が長蛇の列を作る予想通りの光景。そして、公開2日間で打ち出した記録が8700万ドル(約90億円)。これは2日間で稼ぎ出した興行収入としては、歴代第3位の記録である。トータルで1億ドルを超えれば大ヒットといわれるハリウッド映画の中で、たった2日間でそれに近い興行収入をあげたハリーポッターは、まさに冬休みを代表する大ヒット映画の1本になることがすでに決定した。しかし、これでも第一作の公開時より3パーセント少ないというから驚きである。
 さてこれからが本格的な冬休み映画大合戦の始まりだ。この戦いに挑むのは新作映画ばかりでもない。秋に公開され大ヒットになったため冬休みも継続して益々興行収入を伸ばそうという映画もいくつかある。

 まずは、ご存知日本が生み出したスーパーホラー『ザ・リング』。ハロウィンの爆発的なスタートはその後も衰えを見せず公開5週目にして1億ドルを突破し、大ヒット映画の仲間入りを果たした。

 もう1つは11月第1週に公開され、この時期に公開される映画としてはかなり良いスタートを見せた『8マイル(原)』。これは『L.A.コンフィデンシャル』('97)のカーティス・ハンソン監督作品で、主演を務める白人ラッパー、エミネムの自伝的とも言われる内容だ。すでにアカデミー賞の呼び声も上がっている。
『ソラリス』US版ポスター
 そして、忘れてならないのがこのコラムでも以前にお伝えしたトム・ハンクスがプロデューサーを務める『My Big Fat Greek Wedding』。公開31週目にして、未だTOP5入りをしている。今までに出した興行収入は1億9900万ドル。この分で行けば11月中に2億ドルに到達しメガヒット作品の仲間入りをすることは間違いなさそうだ。果たして、この映画どこまで記録のばすのだろうか?

 他に『サンタクロース・リターンズ!/クリスマス危機一髪』も、堅実な内容にティム・アレンというスターを迎え確実な興行収入を出している。この作品についても最終的には1億ドルの大ヒット映画に発展すると思われる。

 というような感じで、まずはハリウッドの冬休み大合戦の天国を見ることができた作品群についてお伝えしたのだが・・・光があれば陰は必ずできるもの。すでに地獄を見せられた作品についてもお伝えしよう。
 このように、すでに勝ち組みと負け組みがはっきりし始めた冬休み映画戦争。来週より007シリーズ最新作で今年アカデミー主演女優賞を獲得したハル・ベリーをボンドガールに迎えた『007/ダイ・アナザー・デイ』が、続いて感謝祭にジェームズ・キャメロン製作、スティーヴン・ソダーバーグ監督『ソラリス』が公開される。この作品はロシアの名匠アンドレイ・タルコフスキー監督の作品をリメイクしたもので、ジョージ・クルーニ主演のSF大作である。

 この作品に関して、当コラムでLAダウンタウンでの撮影の模様をお伝えしたがことがあるが、覚えていらっしゃるだろうか?あのダウンタウンに雨を降らせて大量のエキストラを走り回らせたシーンが、どのようにスクリーンに表れるのか楽しみである。

12月に入り、これからもっと面白そうな作品が続々公開となり、益々激化する冬休み映画大合戦。どの作品が勝ち、どの作品が負けるのか?スタジオとしては息もつかせぬ時期ではあるが、映画ファンとしては楽しみな季節が到来する。この冬休み、皆さんは自分のベスト映画に出会えるでしょうか?興行成績や宣伝に惑わされず、是非あなたの目あなたのベスト映画を見つけて下さい!
『007/ダイ・アナザー・デイ』
US版ポスター
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