TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)
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ハリウッドはシリーズ化に大忙し!
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『ジュラシック・パーク』シリーズ第4弾製作決定!
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さて、冬休みを目前にして多くの大作映画の上映日が決定し、宣伝合戦が繰り広げられる11月だが、そんな中あの大ヒット作『ジュラシック・パーク』シリーズの第4作目の製作が発表された。
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『ジュラシック・パーク』('93)と言えば第1作目が全世界で1000億円を超える収入を打ち出し、続く第2作『ロストワールド/ジュラシック・パーク』('97)も800億円、第3作『ジュラシック・パークIII』(01)も500億円近く稼ぎ出している。また、映画が公開されるたびに売れる玩具やゲームなどの関連商品の売上は、2000億円を軽く超えている。ユニバーサル・スタジオとしてはこんなに美味しい作品の続編を作りつづけない訳がない。
すでに、サム・ニールやジェリー・ゴールドブラムなどのレギュラー出演者との交渉はすんでいるようだ。ただ、『ジュラシック・パークIII』で監督を務めたジョー・ジョンストンは今回、プロデューサーに回るとされ、監督は未定である。 |
『ジュラシック・パークIII』では翼竜が登場したが、今度はどんな恐竜が登場するのか?すでに技術的には製作不可能な恐竜はいないのでは? |
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内容については第1作、第2作を監督したスティーブン・スピルバーグに構想があるらしい。果たしてどんな作品が生まれるのか?全米での公開予定は2005年の夏だそうだ。
それにしてもハリウッドは相変わらず続編が好きだ。現在はアメリカでは11月15日の『ハリー・ポッター 秘密の部屋』(02)が莫大な量の宣伝活動を展開している。これだけ強気での宣伝費を使えるのもシリーズものの強み。公開される前から、大ヒット確実なのだから。開けてみるまで分からないハリウッド映画の興行の中で、大ヒットの予感が、メジャー・スタジオがシリーズものを作り続けてしまう理由だろう。 |
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さて、この『ハリー・ポッター』シリーズ。最終的に原作本は第7作まで執筆されるそうだが、映画の方もその全てを映画化するそうだ。しかし、ポッター役のダニエル・ラドクリフを始め、登場する子供がどんどん成長してしまうため、映画が公開されると同時に次回作の撮影に入ると言う異常な早さで製作が進んでいるらしい。
このような製作体制は3-4年前のハリウッドではとても、珍しい事だった。昔の例で言えばロバート・ゼメキス監督が『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』('89)の製作を開始した年、脚本執筆の時点で何かひらめいたのか、製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグに電話をかけ「良いニュースと悪いニュースがある。いいニュースは、この映画はPART3まで製作できる。悪いニュースは、PART3のための制作費がすぐに必要だ」と言ってスピルバーグを慌てさせたと言う。 |
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ユニバーサル・スタジオでも大人気のジュラシック・パーク・ライド。USJでも人気ありますか?
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しかし、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』の場合、第1作目が大ヒットしているため、2作目と3作目を一度に製作するのは、スタジオにとってごく一般的な事になりつつある。それは、もうすぐ公開される期待作『マトリックス』('99)の2作目と3作目が同時に製作されたことでも分かる。ただ、最近のハリウッドでは何を焦っているのか、一作目を公開する前から、一度に2部作ないし3部作を製作してしまうの例まででてきた。それが昨年全米ではハリッポッター以上の興行収入を上げ、アカデミー賞にまでノミネートされた『ロード・オブ・ザ・リング』(01)である。この作品の撮影は、一作目を公開する前に3作全部を製作したのだ。
シリーズになりそうな原作を、手当たり次第に映画化していく流れはまた当分続きそうだ。確かに、観客としてもデートなどで映画を見に行く時は、絶対外さないように手堅いシリーズものを見てしまう傾向があり、スタジオの気持ちも分からないでもない。ただ、同時に多少チャレンジングな単発映画もどんどん製作していってほしい。 |
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