TEXT BY 坂本マリ 監修 伊藤秀隆

 製作現場潜入ルポ! あのスターコメディアンの新作がただいま撮影中!!

 日中はまだ半袖で過ごせるLAでも早朝は肌寒く、起きるのがつらい季節になってきた。今日は日本の皆様にお馴染みユニバーサルスタジオに潜入。バックドラフトとE.T館の裏手にあたるステージ33と34には、なにやら大掛かりなセットが組まれてる。ステージの外にはスタッフや出演者(エキストラも含む)に朝食を提供しているトラックステージ33がある。中を覗くとテーブルに花まで飾られている。みるからに予算の高そうなプロダクションだ。
 果たして何の映画だろうか?となりのステージ34に赤いライトが消えた。(外の赤いライトが点灯している時は撮影中のためドアを開けることができない)これはチャンスとばかりに潜入してみると、中身はどこかの会社のような小さなオフィスが幾つも区切られている。ある部屋にはテレビのモニターが沢山あったり、また他の部屋にはコントロールルームがあったりと、そこにはテレビ局の報道部のセットが丸ごと再現されていた。そのセットの立派さと言ったら、相当制作費の高い映画であるのは間違いなさそうだ。
トラックステージ34の入り口
 うーん、どんな映画なのだろう。私はキョロキョロあたりを見回した。その時である。作られたセット内の廊下を歩いてくる一人の男に気が付いた。その男とは?つぶらな瞳と爽やかな笑顔。マスク以来トップ・スターとして君臨しつづける人気俳優ジム・キャリーであった。このジム・キャリー、カメラが回ってない時はとても礼儀正しく紳士的で、映画の中のふざけ放題のキャラとは大違いである。とても気さくにエキストラの人達と話をしている。

 監督はというと、『エース・ベンチュラ』('94)、『ライアーライアー』('97)に引き続き今回の『Bruce Almighty』が3作目となるトム・シャドックである。彼もジム同様とても気さくな人柄だ。まー、コメディーの監督の性格が暗いと、それはそれで困ってしまうのだが…。
 脇をかためる共演者質も大物ぞろい。ジムの彼女役には、最近ではブラピの奥さんと言う方が通りの良くなってしまったジェ二ファー・アニストン。神様役にモーガン・フリーマン。と言った面々だ。ところで、今「神様役」というキャラ設定に思わず首をかしげてしまう人も多いと思う。そんな貴方に、ちょっとだけストーリーをお教えしよう。

 売れっ子TVレポーターのブルース(ジム・キャリー)は愛すべきガールフレンドグレイス(ジェ二ファー・アニストン)がいるにもかかわらず、いつも不平不満ばかり言っている。ある日、彼は人間の姿となって現れた神(モーガン・フリーマン)から、神の力を授かることとなる。そして・・・さてこの続きは、公開を待つことにしよう。
セットの建物:この中にTVスタジオが再現されている
 ここで、この映画にでくるジョークについての豆知識。日本でも同じだが、その国の時代背景を知らないと理解できないジョークがある。そして、この映画にもアメリカで起きた事件がジョークのネタになっているシーンがあるので説明しておこう。

 1970年代に、労働組合のリーダー、ジミー・ホッファが日本でいうテキヤ(暴力団)に殺された。この事件は当時とても大きく取り上げられたそうだ。そして、そのジミーの死体がいまだに見つからない。あまりいい冗談とは思えないが、何か人を驚かせたい時に『ジミー・ホッファの死体を発見した!』っていうのが冗談でいわれるそうだ。私が潜入しているときは、ブルースが大喜びをしながら報道部のデスクに帰ってきて、この冗談を飛ばし、同僚達が激励するというシーンが撮影された。

 TV局が舞台と言う事もあり他にもアメリカの社会を反映したジョークがたくさん飛び出しそうなジム・キャリーの新作。来年夏の公開を前に少しアメリカ文化や歴史について勉強してみるのもいいかも?
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