TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 ハリウッド カフェめぐり

 ロサンゼルスには本当にスターバックスが多い。車で5分ほど走れば必ず一軒や二軒は見つかる程。こちらのスターバックスは、日本のスタバのようにゴチャゴチャしておらずリラックスできる環境を提供してくれているのだが、せっかく映画の都ハリウッドがあるところまで来たのだから、もっと雰囲気を楽しめるカフェに行きたい!と言う方のために、今回はハリウッドにある素敵なカフェをご紹介しよう。
 サンタモニカブルーバードにある白と黒の日除けとレンガの建物が素敵な“フォーモサ・カフェ”(Formosa Café: 7156 Santa Monica Boulevard, West Hollywood, CA. / (323) 850-9050)。ここは、1925年に創業した歴史的なカフェだ。周りには、ワーナーブラザーズスタジオを始めとする多くの老舗スタジオがあるため、スター達もよく訪れると言う。

 中に入って驚かされるのは所狭しと壁に掲げられるスター達の白黒写真。その数、なんと250枚。しかも、この写真と言うのが一般市販されているような代物ではない。スター自らがこのカフェに持ってきてくれたものというから、さらに驚く。ジェームズ・ディーン、マリリン・モンロー、エルビス・プレスリーなど、まるでハリウッドのスター博物館のようだ。
このカフェは歴史的建造物としてロサンゼルス市より正式に認定されている
 しかし、このカフェに来て楽しめるのは写真だけではない。昔ながらの渋い雰囲気を醸し出した内部では『LAコンフィデンシャル』('97)、ジムキャリー主演の『マジェスティック』(01)、『スウィンガーズ』('96)などの撮影が行われたのだ。

 ちなみに、メニューを見てみるとクラシックな内装とは裏腹に、チャイニーズが主体。値段の割に味も量もかなり普通だが、暗めの照明の中でテーブルに置かれた蝋燭に火を灯してもらいながら、カクテルでも傾けようものなら、渋いムードのハリウッド映画の世界にどっぷりと浸れること間違いなし。時にはデートで、時には一人で、ム-ドを楽しみたい方は是非訪れて欲しいカフェの一つである。
天井にまで張り巡らされるスター達の写真
 そして、もう一軒お薦めなのが「ブルジョワ・ピッグ・カフェ」(The Bourgeois Pig Café)。 5931 Franklin Ave Los Angeles, CA /(323) 464-6008ここは小説家や脚本家を目指す若者が交流したりすることで知られている。時々、ハリウッド映画の有名プロデューサーがネタ探しに訪れるらしい。
 「モノ書き」という仕事とカフェの関係はとても大切らしく、多くの作家がお気に入りのカフェで傑作を生み出している。近年ではJ・K・ローリングがイギリスのEdinburgh caféというカフェで「ハリーポッター」を執筆したというのは有名な話である。このブルジョワピッグ カフェでも、コーヒー片手にラップトップに向かって一心不乱にタイプしている若者たちで一杯だ。

 内装はどちらかというとアート志向の若者向け。内部にはビリヤードやソファ-などがあり独特の雰囲気をかもし出している。このカフェ、確かに「モノ書き」が多いが、おしゃべりや学校の宿題など、いつもと気分を変えて何かをしたい時に行ってみると良いかもしれない。
夜遅くまで、夢を語り合う若者達でにぎわっている
 たかが、カフェ。されど、カフェ。LAにはまだあまり知られていないカフェがたくさんあります。読者の皆さんも。LAに来たときは是非、自分のお気に入りのカフェを見つけてみるのいいかもしれませんね。
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