TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 夏の大作シーズン直前リポート! 意外な面白さの映画が登場だ!!

 夏の映画ラッシュまであと少し!日本での夏の大作映画はだいたい6月ぐらいから公開が始まる。しかし、ここアメリカでは5月から。その直前の4月は嵐の前の静けさと言う感じで、あまり目新しい映画は公開されないのが普通である。だが、今年は違う。意外なところから面白い映画が飛び出したのだ!
 1つ目にご紹介するのがやっと公開が実現したジョエル・シューマッカー監督の『フォーン・ブース』。この映画、実は昨年の秋に公開が予定されていたのだが、ちょうどワシントンDCにて本物の連続狙撃事件が勃発。やむなく公開延期となってしまっていた。主演のコリン・ファレルは一時オスカー獲得もありえるのではないか?と囁かれるほどの熱演を披露していただけに、オスカーの時期に公開を逃してしまったのは残念だ。

 さて、気になる内容だが、有名人の広報を担当する主人公が、結婚しているにも関わらず、毎日同じ公衆電話から女優志望の彼女に電話をかけていた。ある日、いつもの様に電話をし、受話器を置いた直後、電話がなった。声の主はライフルでその公衆電話を狙っているという。最初は悪いジョークと考える主人公だが、イタズラでない事を示す為に彼の目の前で関係のない人間が狙撃される。犯人の要求は「電話を切るな」というもの。やってきた警察やメディアが公衆電話を取り囲み大騒動に発展、果たして主人公の運命やいかに? これだけでも実に興味をそそられるストーリーだが、公開の週は見事全米ナンバー1を記録するなど好調な滑り出しを見せている。
 続いてご紹介するのは『ゴースト・オブ・アビス』。監督、製作は『T2』『タイタニック』のジェームズ・キャメロンだ。ただし、この作品は通常の映画としては公開されない。公開されるのは、巨大スクリーンでおなじみのI-MAXシアター。しかも、今回はなんと3D映画としての公開である。

 内容は、キャメロン監督が『タイタニック』のリサーチのために潜水艦でタイタニックの内部に潜入し、かつて誰も見たことのない海底のタイタニック号内部をハイテク技術を駆使して撮影したドキュメンタリー映画。世界中から集められた歴史、海洋考古学、海洋生物学の専門家達が結集し、最先端の技術と知識を駆使してタイタニックを90年の眠りから呼び覚ます。
『ゴースト・オブ・アビス』
キャメロン監督6年ぶりの作品。彼の映画としての次回作は噂では宇宙ものだとか…。しかも、宇宙に実際に行ってくるらしい!!
 毎回、CG技術を駆使した素晴らしいエンターテイメント映画を製作するキャメロンだが、今回も実際に残された写真や再現された乗客の姿を朽ち果てた本物のタイタニック号に重ね合わせながら、迫力ある3D映画として見せていく。その手腕はさすがキャメロン! 通常のドキュメンタリー映画とは一線を画した感動と冒険に満ち溢れた娯楽映画に仕上がっている。これは一見の価値ありだ。

 日本では、夏休み映画として7月19日から公開されるというのもうなずける。普通の映画館では絶対味わえない興奮をIMAXシアターで感じて欲しい。
I-MAX:アメリカの映画館では最終回には一般の映画をI-MAXスクリーンで上映するという粋な計らいをしてくれる。
 さて、夏の大作映画シーズンだが、今週の金曜日から『X-MEN 2』の公開が始まりその後『マトリックス リローデッド』など夏の話題作が続々登場する。さーこの夏、読者の皆さんは素敵な作品に何本出会えるのでしょうか?
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