TEXT BY 尾崎佳加

 検証! 「ハリウッドで偶然スターに出会おう」計画 ―後 編―
 秘伝! LAで確実にスターに会う方法!

前回に引き続き、偶然スターに出くわそう計画を遂行中のある日。ついに私にも大物スターを目にするチャンスが訪れた!

…リサーチが行き詰まりかけたと思う夕暮れ、あてもなく車を流してハリウッド通りにさしかかる。すると、毎年オスカーナイトで盛り上がるコダックシアター前に大勢の人だかりができている。ここは隣りのチャイニーズシアターと合わせて人気の観光地だからいつも多くの人で溢れているが、この日はその比ではなかった。警備が出動するほどの行列の中、ピザをかじっているおじさんに何事かと声をかける。
「トム・ハンクスを待ってるんだ。もうそろそろ到着する頃だよ。」

トム・ハンクスとはあのトム・ハンクスか。棚ぼた式にスターに出会おう計画を立てたものの、ここまで大物に出会えるなんて期待していなかった。願ったり叶ったりの偶然に、私とスターとの出会いはいきなり秒読み段階に近づいた。するとピザおじさん、「あんた取材パス持ってるの?」
ぱす?聞くとピザおじさんはジャーナリストで、ここは取材許可を持ってるリポーターたちの場所らしい。見ればずらっと長く連なる取材陣の列。はじめは映画の撮影でもしているのかと思ったが、一ロケ現場にこれだけメディアが詰め掛けることはない。そんなことを考えながらピザおじさんから少し離れた場所に落ち着く私。そこからは『The Ladykillers』と書かれた看板がいくつも掲げられているのが見えた。

そう、この日はトム・ハンクスの最新作『レディ・キラーズ』のプレミアだったのだ。なるほどこれなら確実にスターに出会えるわけだ。映画公開の初日には、主演のスターが挨拶にやってくるので、あなたは事前に好きなスターの映画公開スケジュールを調べ、劇場に駆けつけるだけ。彼らが急病でドタキャンでもしない限り遭遇率はほぼ100%だ。
スター遭遇計画の初日にいきなりアカデミー賞2冠男優に出会えるとは。さらにプレミアは、お目当て俳優の他にも色々なスターや有名人が集まるというところが2度おいしい。日頃の善行の賜物である。

照明がこうこうと劇場を照らしだし、取材者たちはカメラをセットする。そして、各ポジションで警備をしていたSPがレッドカーペットの先端に集まりだしたとき、一台目のリムジンが到着した。
まず、はじめに到着したのはボニー・ハント。リムジンから顔を見せた瞬間、ファンたちの割れんばかりの歓声が彼女を迎えた。ボニーは『ザ・エージェント』('96)でレニー・ゼルウィガーの良き姉役を演じ、好感度の高い女優として人気がある。インタビューを受ける最中も、彼女に声をかけるファンたちに何度も手を振って応える優しさが印象的だった。続いて到着したのはマイケル・クラーク・ダンカン。『デアデビル』(03)で悪役を演じた彼だが、実際は終始笑顔を絶やない悪のイメージが全く似合わないお兄さんという感じ。
そして、興奮が高まった劇場前に最後のリムジンが到着した。
「あれだ!トム・ハンクスだよ。リタも一緒だ!」私の隣りにいたお兄さんが大興奮で叫ぶと同時に、日中のようにフラッシュが連続してたかれ、トム夫妻がレッドカーペットに降り立った。

その時、ハリウッド通りに詰め掛けた全ての視線がトム・ハンクスに注目していた。「今最も稼ぐ俳優」としてハリウッドのトップに君臨している夫と、女優の顔とショービジネスの才を兼ね揃えた賢妻リタ。集まった人々は、これまでの何倍もの歓声を上げ、ため息をつき、この日の主役を迎えた。
友人の話したとおり、確かにスターにはオーラがあった。

こうして私の「偶然スターに出会おう計画」は、華やかな顔ぶれを一度に拝めたことで大成功を収めた。ハリウッドでは週1回のペースで新作が公開されている。さっそく来週のプレミア情報をチェックし、次回はどのスターに遭遇しようなどと調子に乗っている私だった。


■スターに会う方法
LAに旅行に行く際「どうしてもスターに会いたい」というあなた、下記のホームページをチェックして事前にプレミア情報をゲットしておこう。
■プレミア情報がわかる便利サイト> http://www.seeing-stars.com/Calendar/index.shtml#premieres
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