TEXT BY 尾崎佳加

 中世の騎士たちが繰り広げる死闘 at メディエバル・タイムズ

 ロサンゼルスのお隣のオレンジ郡にムービーランドと呼ばれる町がある。映画に関する何かがあるとなれば、<fromハリウッド>でも取り上げないわけにはいかない。かけつけた映画の町で真っ先に見つけたのは、壁一面に馬上の雄雄しい騎士たちが描かれた大きな建物。西洋の城をイメージしたレストランのようだが、いったいこの中で、どんなエンターテイメントが展開されているのだろうか?!
 Medieval Times(メディエバル・タイムズ)―。「中世の時代」を意味するこのレストランだが、中に入ってみてすぐに納得。城門で迎えてくれたのは4~15世紀の西洋の衣装に身を包んだかわいい町娘たち。その横には重々しい鎧を身につけた騎士たちが整列し、まるで中世にタイムスリップしたかのような錯覚にとらわれる。ここは中世の騎士たちの戦いを再現したショーを見ることができる、ユニークなレストランなのだ。
迫力ある生の舞台が目の前で繰り広げられる。
 時は11世紀、西洋のある一国に美しい姫がいた。この姫にふさわしい王子を選ぶべく、5人の勇敢な剣士たちが各国から集められた。祖国の名誉を賭けて戦い抜く彼らの中から、王座を与えられるのは最も剣に長けた一人の騎士のみ。勝利を掴み、生涯の栄光を手にするのはどの国の騎士なのだろうか―。

 騎士たちの壮絶な戦いを繰り広げるべく、店内(場内?)はだだっ広く、コロシアムのような円形闘技場になっている。観客は、各代表国の貴族としてここに招待されたことになっていて、赤、青、黄などの色のついた王冠を手渡される。この色をもって国を区別し、同じ色の鎧を身につけた騎士たちを応援するような演出になっている。
 トーナメントは多種に渡り、騎乗しながらの槍投げやリングピアス(宙に吊るされた小さな輪を槍で集める競技)など、馬術の腕を競う穏やかなものから始められる。その間、観客は祭りのために用意された宮廷料理さながらのディナーを楽しみ、戦いを見守っている。余興となる騎乗競技が終わると場内に充満する騎士たちの士気は一層高まり、いよいよ剣を交えての戦いが始まる。
 騎士が使用する剣は、デザインも形も限りなく本物に近い。馬上で剣を交わすごとに火花が飛び散り、高い金属音が場内の緊張感を盛り上げる。芝居とは思えないほどの激しい戦い。この危険な闘技を演じる役者たちは、舞台に上がるまで数ヶ月に及ぶ訓練を受け、3週間に一度は剣を取り換えているのだそうだ。また、ほとんどの騎士役たちは髪を腰まで伸ばしていて、まるで本物の騎士のように豊かな金髪を風にさらしていた。
 大きく振り上げた右手に国旗を掲げ、それぞれの国民に勝利を約束する騎士たち。観客はすっかり中世の人々になりきり、死闘を繰り広げる自国の英雄を懸命に応援する。中には家族連れのお父さんが子どもよりも必死になって応援しているなんて光景も。

 落馬し、傷だらけになって死に行く剣士たち。そしてとうとう勝利を収めた勇者に国王から王冠が渡される。だが、本当の物語はここから始まるのだった…。
王冠をかぶって自分の騎士を応援するお客たち 大変な盛り上がり!
 ストーリーは二転三転し、意外な結末に会場は大盛り上がり。日本じゃまず体験できない、優れたエンターテイメントを演出するショーレストラン。エンディングはぜひ、ご自身で確かめに来て欲しい。
メディエバル タイムズ(Medieval Times)
7662 Beach Blvd.Buena Park, CA 90620
TEL: 800-899-6600
URL:www.medievaltimes.com

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