TEXT BY 尾崎佳加

 【ハリウッドのテレビ事情6】 Shall we dance? ハリウッドはダンス番組が旬!

芸術の秋、食欲の秋、読書の秋…。深まる季節に酔いしれながら、ハリウッドはダンスの秋を迎えています。
この秋、ハリウッドのリアリティーTV界ではダンス番組が旬のようだ。5日、シーズンファイナルを迎えたFoxテレビの「So You Think You Can Dance?(ソー・ユー・シンク・ユー・キャン・ダンス)」。この夏スタートしたばかりのダンサー育成系の大オーディション番組は、シーズンスタート早々素晴らしい盛り上がりを見せた。それもそのはず、「So You~」はご存知アイドル発掘番組「American Idol(アメリカン・アイドル)」のクリエイター、アメリカン・ミュージック・アワードのプロデューサー、そして50年代全米にロックンロールという音楽を広めた伝説の番組「American Bandstand(アメリカン バンドスタンド)」の制作チームが結集して生み出した大型リアリティーショー。アメリカのショービズ界を代表する3大ショーの担い手たちが手がける全米クラスのダンスオーディションなのだから、人気を呼ぶのも無理もない。
大ステージでの活躍を夢見る若者たちが、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどの全米各都市でオーディションを通過し、本選に臨むというのは「American Idol」とほぼ同じ進行だが、唯一違うのは、歌ではなく踊りを競うということ。そのスタイルはサルサ、バレエ、ヒップホップ、それに近年ロサンゼルスで生まれたばかりの新しいダンス、クランピングなど実に様々だ。
番組のターゲット視聴層は若者だから、人気のダンスジャンルはやはりストリート系かと思ったがどうやら大間違い。初シーズンの参加者にはサルサや社交ダンスを披露するダンサーが多く、優勝者はモダンジャズを得意とするニック・ラッツァリーニ(20)だった。4歳からバレエやジャズで基礎を築き、ヒップホップ歴も10年以上という多才なダンサーの彼は、抜群のバランスと華麗な跳躍で舞台を駆け抜け、身体全体で自己を表現した。結果、決勝戦ステージで視聴者投票率の約40%をさらい、最終戦に残った2人のライバルを蹴落として10万ドル(約1000万円)の賞金とアメリカ一のダンサーという名誉を手にしたのだった。
さて、モダンジャズという比較的クラシカルなダンススタイルが再び復活している今日この頃、これをフィーチャーした新たなダンス番組が登場した。今月7日スタートしたTLC局の新番組「Ballroom Bootcamp(ボールルーム ブートキャンプ)」だ。
この番組は、社交ダンスには全く縁のない素人ばかりを集めたダンスの特訓番組。フットボール選手や主婦、配管工、それにカウチポテト族が重い腰を上げ、社交ダンスという全く未知の世界へ挑戦する。5週間の厳しい特訓の中で彼らは社交ダンスの5スタイル、ルンバ、チャチャ、ワルツ、タンゴ、ジャイブのうち一つを選んで徹底的に練習。その道のエキスパートに指導を受け、踊りだけではなく立ち振る舞い、バランス感覚、そして自信をも身に着けるべく猛レッスンを受ける。
社交ダンスといえば、日本でもウッチャンナンチャンの人気番組「芸能人社交ダンス部」が今年特番として復活し、再びブームが到来する予感。こちらアメリカではプロムパーティーやチークダンスなど、日本よりも日常でダンスに触れる機会が多く、昨年全米公開された映画『Shall we Dance?』(日本は2005年に公開)のヒットも手伝い社交ダンスに興味を持つ人々が急増中だ。
かくいう私も社交ダンス経験者だが、ちょっとしたパーティーでリードの上手な男性に出会うともうそれだけでうっとりしてしまう。社交ダンス人口は女性のほうが多く、男性ダンサーはとても貴重。モテ芸の一つとして始めるのも悪くないだろう。Shall we dance?
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