TEXT BY 尾崎佳加

 ハリウッドスター格付け 映画スター VS TVスター

日本のコマーシャルを見ていると、車、日用品や食料品など様々な企業がハリウッドスターを起用している。ところが意外なことに、こちらアメリカではコマーシャルはおろか、テレビ番組に出演する映画スターは、ゲスト出演や映画のプロモーションを除いてほとんどいない。ハリウッドでは、テレビという媒体が映画に比べてスケールが小さく、格が下だというイメージがあるかららしいのだが、果たしてそれは正しいのだろうか。
最近、日本では海外ドラマの人気は高まる一方だ。『ヘイ!レイモンド』『ふたりは友達? ウィル&グレイス』『24』などエミー賞常連組はとっくに日本進出を果たしているし、『セックス・アンド・ザ・シティ』はオシャレと刺激に敏感な女性の間でバイブル的な存在だ。そして今年は全米に主婦ブームを巻き起こした超話題作『デスパレートな妻たち』がついに上陸。もはや日本はテレビ界を無視してはハリウッドを語れないほどアメリカンドラマを受け入れている。
では映画スターとTVスターでは、どちらの格が上なのか。ここで言うTVスターとはバラエティーショーではなくシットコム(ドラマ)に出演する俳優のこと。彼らは来る日も来る日も同じシチュエーションで演じ、ヒットすれば10年以上も同じ役をやり続ける。ジェームス・ボンドやスーパーマンと同じく、役のイメージが定着してしまうと他の作品に出演できなくなるリスクは高いが、その分安定した人気が確立できる。
一方、映画スターは出演作一本一本が勝負。ロバート・デニーロやレニー・ゼルウィガーのように役作りのために体重を増やしたり、デミ・ムーアのように自宅にフィットネスジムを増設して体作りをしたり、役作りに余念がない。テレビ番組と映画では他国への普及率が違う。世界的に有名になりたければやはり映画を目指したいという俳優が多いのもうなずける。
では映画俳優に比べてTV俳優は劣るのか。作品がヒットした場合で比較すると、断然TVスターの方に分がある。マンモスヒットドラマ『フレンズ』を例に挙げると、主演のジェニファー・アニストンを含む『フレンズ』の3女優は世界のギネスブックで「最も稼ぐテレビ女優」とされ、1エピソード100万ドルの記録を持っている。(男性3人も同じ出演料だが、記録では『となりのサインフェルド』のジェリー・サインフェルド(全エピソードで2億6千700万ドル)が上回る)。
映画スターの出演料はアーノルド・シュワルツェネッガーの3000万ドル(『ターミネーター3』)、女優はキャメロン・ディアスの2000万ドル(『チャーリーズ・エンジェル:フル スロットル』)が過去最高 。『フレンズ』のキャスト10ヶ月分のギャラにも満たないのである。
現在のところ、ハリウッドスターといえば映画俳優と決まっている。知名度、名声ともにアメリカンショービジネスのトップに君臨してきた彼らだが、TV番組の輸出枠の拡大に伴い、TVスターが逆転勝利を収める日はそう遠くないかもしれない。


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