TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

 今回の海外映画情報では、NYのニュースペーパーや雑誌などで噂され ている話題をいくつかピックアップして取り上げてみました。

 低予算映画に貢献するケビンスペイシー
 NYデイリーニュースによると、ケビン・スペイシーはジョン・スワンベック監督の新作『TheBigKahuna』の1シーンに関して建設的な提案をした。監督は夜中にケビン・スペイシーが電話をして、翌日の撮影シーンについての提案をしてきたことを思い出す。スペイシーとダニー・デビート扮する二人のセールスマンが、ホテルのスウィートで年老いたカップルさながらルームサービステーブルの回りで大物クライアントを待つシーンだったが、問題は映画が超低予算だった為に、何時でも瞬時にルームサービステーブルのセットを用意することが出来なかったことだ。電話があった翌朝監督が彼に会いに行ってみると、Tシャツにワークブーツでカートをトラックに運び込んでいるスペイシーがいた。カートには朝食のセットが。なんとルームサービスでブレックファストを二つ注文して、それを転がしてそのまんまホテルの外に停めてあったトラックに積み込んだんだとか。彼が廊下を歩いる途中、ホテルスタッフたちが「おいあのベルボーイ、ケビン・スペイシーに超そっくりだ」っていっていたらしい。ちなみにスペイシーはブロードウェイで『TheIcemanCometh』の舞台に夜に出演しながら、この映画を昼間に撮影したという。

 サミュエル・L・ジャクソンはほんとはヤな奴なのか?
 NYポストによると、ジョン・シングルトン監督は6月公開予定の『Shaft』のタイトルシーンをシューティング。ところが主役のサミュエル・L・ジャクソンを使わずそっくりさんを起用。ジャクソンの予定は空いていたのに、クルーが彼の傲慢な態度に我慢ができないという理由で使いたくなかったという。ジャクソン側のスポークスマンはこれを否定。この撮影になにもいざこざはなかった、撮影にジャクソンは必要なかっただけだし、あんなに人当たりの良いサムが誰かと問題を起こすなんてことは考えられないねという。映画会社のほうでも今回の撮影にジャクソンが必要なかっただけ、とこの記事を否定。

 サイコキラーのためのパーティ

Cerrutiのスプリングコレクションのディスプレイ
 連続殺人事件を取り上げた映画『アメリカンサイコ』のプレミアのあと、57丁目にあるブティック“Cerruti”に映画関係者が詰めかけ早い時刻のパーティが開かれた。これはブティックのデザイナーが、ウォール・ストリートの冷酷な殺人者役をパーフェクトに演じた主演のクリスティアン・ベールのために用意したもの。血みどろのスクリーンにおびえた人たちがカクテルグラスを頭上に持ち上げた店内は、身動きも取れない状態。その合間をぬってベールは「NYは一番映画の反応が良かった。なぜってNYに関するローカルなジョークがいっぱいあったからね。」とコメントしている。またベールは『スターウォーズエピソード?』のアナキンスカイウォーカー役を演るって噂もあったらしい。
アッパーイーストの高級ブティックが並ぶ通りにあるCerruti


 ウッディ・アレンが景観保護運動家に転身
 スキャンダル監督がランドマーク保護運動家に転身映画関係のセレブリティの中で最もNYを象徴しているのがウッディ・アレン。NYタイムスによると、彼は最新作の2分53秒のショートフィルムを撮り終えた。このフィルムは実はハリウッドの商業用のものではなく、NYランドマーク保護委員会のためのもの。12本分のコピーしかなく一般上映予定ない。イーストサイド、91丁目に16階建シティバンクビルが建設されるプロジェクトに反対する委員会に頼まれて、ウディ・アレンが一役買った。彼がこの運動にかかわったのは、昨年92丁目にビクトリアンタウンハウスを購入し子供のために引越したからだけではなく、長年この地域を舞台に映画の撮影をしてきたからだと委員の一人はいう。
問題となっている92Streetのと
MadisonAve.のコーナー


瀟洒なタウンハウスが並ぶ91Street
 彼は過去何度もロケに使ったカーネギーヒルの歴史的景観がそこなわれてしまうことに反対しているのだと。インタビューの中でウディ・アレンは「開発者に対抗しているわけじゃない。ただまさしく大間違いの場所を選んでビルを建てようとしてるってことだ。これが10階建なら問題にはならないだろうけどね。」といっている。この運動には他にもポール・ニューマン、ケビン・クライトン、ベット・ミドラーらが加わって白熱。果たしてビルは低く建てられることになるのだろうか…。

 トム・クルーズはウディアレンの代役だった!?
 もうひとつウディ・アレンネタがあります。スタンリー・キューブリック監督の未亡人クリスティアンヌのインタビューからの抜粋。遺作『アイズワイドシャット』で、故キューブリック監督はトム・クルーズが演じている役を当初ウッディ・アレンでと考えていたらしい。もちろんウディ・アレンはコメディタッチの演技ではなくて、シリアスなユダヤ人のドクターという役、映画の設定も現代のニューヨークの予定だったとか。結果的にはトム・クルーズと二コール・キッドマンの夫婦で話題も盛り上がって大成功だったけど、ウッディ・アレンがあのオープニングシーンを演じてたとしたら…。


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