TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

 時代を反映するスーパーヒーロー
 1971年に大ヒットした「Shaft」が最少年アカデミー賞ノミネート監督ジョン シングルトンによってリメイク。NYは6月16日封切りのクールでバッドな映画に関する話題で持ちきりだ。「Shaftは現在のNYがいかに複雑な様相、つまり多民族コミュ二ティと様々なカラーで構成されているかを描いている。僕がこの映画で成し遂げたことがあったとすれば、現在のNYを反映させることが出来たことだと思う。オリジナルがそうであったようにね」とシングルトンは語る。オリジナル「Shaft」は市民権運動がより過激な民族分離主義運動に傾きかけ、文化的誇りを持つアフリカンアメリカンらがブラックパワー宣言をした時代に制作された。かつてのスーパーヒーローはブラック対ホワイトの背景の中でアフリカンアメリカンの誇りを創り上げたといわれている。アルマーニを着たサミュエルLジャクソン演じる2000年のシャフトは、様々なカラーが交じり合った現代、人種の壁を超越したヒーローとなれるのか。
5番街アルマーニのディスプレイに
登場しているサミュエルLジャクソン

 今NYで一番バッドな男

タイムズスクエアにある
「Shaft」のビルボード広告
 新時代のヒーロー演じるサミュエルLジャクソンはNYデイリーニュースに10年前コカイン中毒でリハビリクリニックに入った経緯、復帰後の活躍等について語った。コカインのラインを引いたままキッチンでぶっ倒れているところをワイフが見つけて即入院したが「いつ入ったのか大きな疑問だったね」とサム。そして皮肉なことに復帰後初の役はスパイク リー監督「ジャングルフィーバー」のクラック中毒者の役。「俺はそいつが誰だか知ってたんだ。俺がそうなるのを止めた男だったからな。それで彼の気持ちになり切ることが出来た。以前ワイフが俺は演じるのはうまいが心が空っぽだっていってたんだ。だがドラッグを止めてからそれがどういうことかって気が付いた。それからの仕事は大いに違ってきたね」タランティーノ監督「パルプフィクション」ではアカデミー主演男優賞にノミネートされたトラボルタと同格の役にもかかわらず、配給、制作会社の意向により助演男優賞にノミネート。これを人種差別的だとする見方もある。「みんな人種差別を通り抜けなければいけない。今年もケビンとデンゼルの件があったな。ケビンは票を入れてもらえる老俳優達を訪ねたんだ。オスカーは手に入れたいが、そこまで必死になるほどのことでもない」シニカルなジャクソンだが、現在はドラッグ中毒を返上してゴルフ中毒。「ゴルフは自分のミスは自分の責任。誰とも戦わなくていいからリラックス出来る。コースは美しいし出かけるには最高の場所だね」ということだ。

 問題を孕んだコメディ映画
 ジム キャリーの新作コメディ「Me, Myself & Irene」が今月末上映予定。監督は「There's something about Mary」「Dumb & Dumber」のFarrellyブラザーズ。キャリー演じる二重人格のコップが、ある一人の女性に恋をするというストーリー。しかしこの映画が、精神障害の人々を不適切に描いているとナショナル精神障害者連盟NAMIから抗議を受けた。 両監督はこの件に関してノーコメント。映画は予定通り上映される。

 ベストコメディトップ100発表
 アメリカンフィルムインスティチュートAFIが1800人のメンバーによって選んだ、ベストコメディ映画トップ100がCBSスペシャルで発表された。1位はビリーワイルダー監督「お熱いのがお好き」2位はシドニーポラック監督「トッツィー」3位はスタンリーキューブリック監督「博士の異常な愛情」。1位はジャックレモンとトニーカーティス、2位はダスティンホフマンの女装がみもの。結局女装ほど滑稽な物はないという結果か。アニーホール」が4位のウディアレンはトータルで5作品をエントリーさせてコメディ監督の王座獲得。90年代後半に発表された作品ではFarrellyブラザーズの「There's Some thing About Mary」が27位にはいっているだけ。

 人気TV番組「NYPD Blue」2年後まで安泰
 ABCTVはエミー賞受賞人気番組「NYPDBlue」を2002年5月まで継続すると正式に発表した。今後毎年1月から5月まで20回のオリジナルエピソードをオンエアし、再放送は行わないという。去年の秋に番組の時間帯を従来の火曜日10時という枠から変更するといわれた番組作者のStevenBochcoは、これに抗議し「NYPD-」を他局に移行させるとABCを脅した経緯がある。この件は最終的に時間帯はそのままにして、今年一月まで放映を延期するということで落着。結果再放送なしで新しいエピソードばかりをオンエアすることが出来て、視聴率を上げる効果も果たしたという。この番組は93年スタート以来放映ごとに常に視聴率トップ20位に座し、毎回平均1600万人の視聴者がいるということになる。


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