TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)
|
先週のNYシネマ事情、ダウンタウン編その2。カウンターカルチャーの中心地ビレッジ界隈ならではの個性的な映画館を紹介する。
|
1970年に設立したウェストビレッジの映画館。外国映画やインディーズを中心のレアものを上映している。現在3つのスクリーンがあるが、映画館が出来た当初はたった50座席からスタート。メンバーシップ制の導入、様々な団体からの基金の確保などオーガナイズされた運営により、映画館の激しい生存競争も何処吹く風。ちなみにメンバーシップの最高額は1,000ドルで、チケットのディスカウントは元よりシートのリザベーション、監督を囲んでのカクテルパーティ、テープの貸し出しなどの特典がある。NYのリッチピープルにとっては1,000ドルのメンバーシップなんてどうってことないのかも。ちなみに3ヶ月ごとに発行しているプログラムは白黒のシンプルなデザインで、Time Out NY誌で「ベストおまけ賞」に選ばれている。また通販でも買える映画館のロゴTシャツもかわいいし、限定販売のブルース ウェバー撮影のサム シェパード写真集は超魅力的。
|
|
|
FILM FORUM
209 West Houston Street New York,
NY10014
Tel: 212-727-8100
www.filmforum.com |
先週まで上映されていた『KISS ME KATE』は53年度のミュージカル作品を3Dにリメイクしたもの。あなたの膝の上でダンサーがタップを踊る、という宣伝文句がいいし、特殊眼鏡をかけて観るのもレトロでわくわくする。現在上映中の映画は、ニュープリントで30年ぶりにリバイバルした55年カンヌ最優秀監督賞作品『RIFIFI』(邦題『男の争い』)。30分間の無音声シーンが伝説的なフィルム・ノワールの傑作スリラー。8月11日から上映予定の『GIMME SHELTER』(邦題『ザ・ローリング・ストーンズ・ギミー・シェルター』はザ・ローリング・ストーンズのドキュメンタリーフィルム。30万人が集まった69年のオルタモントフリーコンサートを記録した伝説的ロック映画。今後ますます魅力的な映画の上映が予定されている。 |
|
26年前に出来たグリニッジビレッジの老舗映画館。歴史を物語る、擦り切れた床や古ぼけた壁紙が味わい深い。とはいうものの改装計画も進んでおり、9月にはリニューアルオープン予定。現在4つのスクリーンでは84年ジョエル・コーエン監督の『Blood Simple』(邦題『ブラッド・シンプル』)ディレクターズカット版、99年チャン・ヤン監督の『Shower』、今年のサンダンスフェスティバルでヒットしたランディ・バーバト&ファントン・バレリー監督のドキュメンタリー作品『The Eyes of Tammy Faye』、99年フランソワ・オゾン監督の『Criminal Lovers』(邦題『クリミナル・ラバーズ』)が上映されている。 |
Quad Cinema
34 West 13th Street New York
Tel : 212-255-8800 |
|
CC Village East Cinemas
189 Second Avenue at 12th St.
New York.
Tel : 212-777-3456 |
イーストビレッジにある一見普通の映画館。上映作品も新作がほとんどだし、なんの変哲もないようなのだが、実はこの映画館では、いまだにあの75年イギリス制作のキャンプなロックミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』が定期的に上映されているのだ。もともとは舞台作品だったが、映画化されカルト的ヒットとなり、上映のたびにコスプレをした観客が舞台に上って熱狂的に踊りまくる、というのがお約束となっている。25年後の今でもその伝統は消えずといったところ。でもちょっと趣向を凝らして、次回の上映はパジャマパーティとなっている。みんな一番着心地が良いパジャマを着て、お気に入りの枕を持参するというのがパーティの条件。パジャマ姿で出歩く勇気がある人のみ参加できるってわけか。映画館で着替えるのは反則?! |
|
|
|
<<戻る
|