10年前デニス・ドロスとエイミイ・へラーはシンプルでエレガントなアイディアによって映画配給会社をスタートさせた。そのアイディアとは、映画は新作旧作問わず、サイレントもトーキーも外国映画もそれぞれが素朴でオリジナルの状態で観られる価値があり、またいつでも本当に良い映画には市場があるということ。事業に対する彼らの正直さと情熱によって、このインディペンデントディストリビューターはアメリカの映画界で最も尊重される地位を築き上げた。 今回リンカーンセンターで行われるこのトリビュートでは、全15作品が上映される。一番古い映画は19年のサイレントドキュメンタリー『SOUTH:Ernest Shackleton and the Endurance Expedition』。氷と雪の嵐と戦う冒険家たちの貴重な映像を、生のオーケストラ演奏とともに鑑賞するスペシャルイベントも行われた。 米、英、メキシコ、キュ-バ、韓国の作品がある中、邦画では是枝裕和監督の95年作品『幻の光』、こちらでも人気が定着している北野武監督97年作品『HANA-BI』、ガウディ芸術のドキュメンタリー勅使河原宏監督85年作品『アントニオ・ガウディ』が上映される。このようなインディーズ配給会社の努力により日本の作品がアメリカに紹介されているのだと思うと、感慨深いものがある。地味ながらも映画が持つ本来の魅力を再認識出来そうだ。
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