TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

 今回も引き続きクリスマス気分がいっぱいのニューヨークから、映画にちなんだホリデーショッピングの話題をお届けします。

 34丁目の奇蹟、メイシーズのディスプレイ
 このシーズンになるとアメリカ人が必ず思い出す映画が、ニューヨークのクリスマスを題材にした47年製作のジョージ・シートン監督作『34丁目の奇蹟』。モーリン・オハラ、ジョン・ペイン、ナタリー・ウッドら出演によるクラシックの名作だ。デパートの宣伝用サンタクロースを巡って繰り広げられる、離婚した現実派のキャリア・ウーマンとその娘、そして駆け出しの弁護士のハートウォーミングな物語。サンタクロースは本物なのか、夢をどこまで信じることが出来るのか、映画を観る人は自分に問いかけること必至。94年にもリチャード・アッテンボロー出演でリメイク版が製作されている。オリジナル映画の舞台となっているのが、マンハッタンの34丁目にあるデパートの老舗メイシーズ。独立記念日の花火やサンクスギビングのパレードのスポンサーとしても名高い、庶民派のデパートだ。

 そして、ホリデー・ギフト・ショッピング戦線で、この時期一番ひとびとの注目を浴びるのがショーウィンドウのディスプレイ。今年はずばり『34丁目の奇蹟』をテーマに映画の場面をウィンドウに展開している。ショーウィンドウを観ながら、ノスタルジックなクリスマスに浸りたい。そしてサンタクロースは本物だって信じましょう。余談ですがロックフェラーのサンタにチップを渡す子供を目撃した友人、かなりショックだったらしい。近頃の子供って…。

Macy's
151 W. 34th Street New York, NY 10001
212-695-4400


 FAOシュワルツでこどもになって遊ぼう
 1862年にドイツ移民のシュワルツ氏がボルティモアで創立、1870年にニューヨークに移転して以来、現在では全米に42店舗を持つ大手のトイ・チェーン・ストアFAOシュワルツ。こちらもトム・ハンクス主演、ペニー・マーシャル監督作品『ビッグ』('88)の映画の舞台となっている。少年が遊園地の機械の魔術師に託した「大人になりたい」という願いが叶って巻き起こるファンタジー・ドラマで、トム・ハンクスがFAOシュワルツで遊ぶ場面が印象的。みかけは大人だけど中身は少年の役を好演し、彼の初めてのアカデミー賞ノミネート作品となった。映画を観て、NYに来たら絶対に行きたいと思った場所のひとつだ。

 さて、今年の目玉のクリスマス・ギフトは、やっぱり映画にちなんだもの。リリース4週目でいまだにBOXオフィス連続1位、ジム・キャリー主演映画の中でもナンバーワン・ヒット作となった『グリンチ』(00)。映画ヒットに便乗して、もちろん主役のグリンチと、トナイカイの扮装をさせられている犬のマックスのぬいぐるみが大人気。TVアニメシリーズの映画化で、昨年末日本公開もされた『ラグラッツ・ムービー』('98)の続編、『RUGRATS IN PARIS:THE MOVIE』(00)のキャラクター・グッズもマニア向け。また『ホーム・アローン』シリーズのクリス・コロンバス監督による映画化が決定、2001年11月の公開が待たれる世界的な人気を誇る児童書「ハリー・ポッター」シリーズのゲームも目玉商品。子供のプレゼントという名目で、実は自分のために買っている親が多いに違いない。ここに来るとついつい夢中になって、時間がたつのを忘れてしまう。トム・ハンクスばりに、大人の姿をしている子供になってるみたい。

FAO SCHWARZ
767Fifth Ave. at 58th Street New York, NY10153
212-644-9400


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