入れ物の素晴らしさが際立ちすぎて中身が目立たないということで、美術館としては失敗だともいわれるグッゲンハイムだが、セザンヌ,ドガ,マネ,シャガール,ロートレック,ゴッホ,ゴーギャン,ピカソといった、近代以降の著名アーティストの作品を網羅。なかでもカンディンスキーのコレクションは世界最大規模を誇る。また写真家ロバート・メイプルソープの200点余りの作品が、タワーギャラリー4階に常設展示されている。
グッゲンハイム美術館がロケ地に使われた映画の中でまず最初に取り上げたいのは、ウディ・アレン監督&主演の『マンハッタン』('79)。冒頭シーンでマンハッタンの夜景と共に使われている。比較的最近ではバリー・ソネンフェルド監督『メン・イン・ブラック』('97)で、ウィル・スミスがエイリアンとチェイスするシーンが印象的。またアカデミー賞ノミネートで話題の監督、リドリー・スコットのサスペンス『誰かに見られている』('84)では、レセプション・シーンで使われた。またメリル・ストリープとロザンヌ・バーが好演するコメディ『シー・デビル』('89)ではパーティー・シーンが撮影され、ニューヨークの社交界のゴージャスな雰囲気を醸し出していた。一番新しいところでは、マイケル・アルメレイダ監督、イーサン・ホーク主演の『ハムレット』('00)。シェイクスピアの古典が現代NYに舞台を移した異色作。撮影はすべてNYで行われ、中でもグッゲンハイム美術館が効果的に使われていた。
撮影シーンに出てくるわけではないが、映画にまつわる話題としてはジェームス・キャメロン監督のアカデミー賞作品『タイタニック』('97)の中に登場した、礼服で死に臨むファーストクラス客室の乗客ベンジャミン・グッゲンハイム氏は、この美術館の創立者ソロモン・R・グッゲンハイムの兄弟。また今回のアカデミー賞候補になっているエド・ハリス監督&主演の現代美術を代表するアーティスト、ジャクソン・ポラック伝記映画『Pollock』('00)に登場するぺギー・グッゲンハイムは、ベンジャミンの娘でソロモン・R・グッゲンハイムの姪に当たる。ちなみにイタリアのベニスには、彼女のコレクションが収容されるペギー・グッゲンハイム美術館がある。
その他の話題としては、昨年秋に行われたジョルジオ・アルマーニ展で、アルマーニがデザインを担当し映画に使われた衣装が展示され、サミュエル・L・ジャクソンのナレーションを聞くことが出来た。現在常設展示で貸し出されるオーディオ・ツアーのナレーターは『アマデウス』('84)でアカデミー男優賞を獲得したF・マーレー・エイブラハム。ナレーターにメリル・ストリープが起用されていたこともあった。 |