TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

 ハリウッドではエンタテイメント界の一大イベント、アカデミー賞の発表があり、受賞結果や会場に現れたスター達のファッション評で持ちきりの今日この頃、NYでは地味ながらも注目したいマイノリティのフィルム・イベントが2つ行われた。3月はウーマンズ・ヒストリー・マンスとしてアメリカで活躍する女性にスポットを当て、女性の地位を向上させようという月間。それに関連するかのように、女性がテーマのフィルム・イベント<The Original Action Shero Film Festival>と<Diaspora Daughters Represent>が開催された。それぞれユニークなイベントなので紹介してみたい。

 The Original Action Shero Film Festival
 オリジナル・アクション・シーロー・フィルム・フェスティバル


当日のポスター。デザインもパムのイメージ通りだ
 3月22日から25日にかけて、ブラック、ラテン、アジア系フィルムをサポートするリール・オルタナティブ・フィルム・サロン主催によるパム・グリアー映画特集が行われた。SheroというのはHeroとSheをコンビネーションした造語。最近ではクエンティン・タランティーノ監督の『ジャッキー・ブラウン』('98)で注目されたアフリカン・アメリカンを代表するアクション女優パム・グリアー。インテリジェントでインディペンデントな役を演じる彼女に憧れて育ったマイノリティ女性達は数多く、また映画オタクのカリスマ的存在でもある。『シャフト』(00)の女性版みたいなブロクスプロイテーション映画『フォクシー・ブラウン』('74)は、毎度七変化で次々と敵を倒すパム・グリアーの代表的作品だ。今回は70~90年代にかけての作品4本が上映されたが、驚くことに時代が変わってもパムは全然変わらない。永遠にタフで美しくセクシーなパム・グリアーは、マイノリティ女性に勇気を与え続けている。

上映作品
『ブラック・ママ』、『ホワイト・ママ』('72)
エディー・ロメロ監督
『刑事ニコ』('88)
スティーブン・セガール、シャロン・ストーン共演、アンドリュー・デイビス監督
『ジャッキー・ブラウン』('98)
サミュエル・L・ジャクソン共演、クエンティン・タランティーノ監督
『Friday Foster』('75)
アーサー・マークス監督


 Diaspora Daughters Represent
 ダイアスポラ・ドーターズ・リプレゼント

 もう一つは、インディペンデント系フィルムのエキシビションと配給を行っているオーガニゼーション、イマジネイションのフィルム&ミュージック・フェスティバル。リーディング・ポエトリーやライブと共に、マイノリティ女性によるショート・フィルム4作品が上映された。中でも話題となったのはジョワ・リーの映画監督デビュー作品。スパイク・リー監督の妹で、女優や脚本家としてはすでに『クルックリン』('94)や『モ’・ベター・ブルース』('90)でもおなじみの彼女だが、今回は監督として5分間のショート・フィルムで会場を沸かした。またライブ・パフォーマンスの目玉となったのは、モータウン・レコードの大型新人インディア・アリー。スパイク・リー監督の『Bamboozled』(00)のサントラ盤でスティービー・ワンダーやエリカ・バドゥに名を連ねてデビュー、ディープな歌詞をアコースティック・ソウルに乗せて歌い上げるインディアは、現在最も注目されているニューR&B系シンガーだ。イベントの行われた3月27日にデビュー・アルバムがリリースされ、会場は彼女をサポートするオーディエンスで埋め尽くされた。すべての曲をアコースティック・ギターだけで歌い上げるインディアからは力強いメッセージが伝えられ、最後にはオーディエンスと共に大合唱となった。ライブの後、彼女に一番伝えたいメッセージは何かと訊ねてみると、インディアは歌のタイトルにもなっている「強さと勇気そして知恵」と答えてくれた。


当日のイベントポスター。
インディアがフィーチャー
されている

彼女がインディア・アリー。
日本ではまだこれからなので
注目するなら今がチャンス!


上映作品
『Snapped』 … ジョワ・リー監督
『Chronicles of A』 … コリーン・スミス監督
『Dirty Laundry』 … クリスティーナ・イバラ監督
『Train'd』 … ラダ・ブランク監督


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