TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

 ニューヨークで開催されるフィルムフェスティバルは数多くあるが、その中で最もヒップでクールなイベントといわれているのが<GEN ART(ジェン・アート)フィルム・フェスティバル>。5月2日から8日に渡って7本の作品がタイムズスクエアにあるヴァージン・メガ・ストアの劇場及びリンカーンスクエアのソニーシアターでプレミア上映され、またパネルディスカッションが行われた。

 GEN ARTフィルム・フェスティバルがヒップなのはなぜなのかというと、ひとつには映画上映後、今NYで最もクールなナイトクラブといわれるLOTUSやSTUDIO54などで行われるアフターパーティに参加できるからだろう。インディーズ映画関係者といえばオタク系が多いが、ファッションとアートとフィルムを融合させようと試みるこの集団はきわめてクールな存在。この映画祭の観客もファッション関係者が多くスノッブな雰囲気だ。


 ニュージェネレーションのための映画、ファッション、アートをニューヨーク、LA、サンフランシスコの3都市から発信するオーガニゼーション、GEN ARTは'93年に当時法学部の学生だった24歳のイアン、出版社にいた22歳のステファン、23歳のアナリスト、メリッサの3人によって設立された。当初はファイン・アート発掘に焦点を当てたこの集団は、その翌年アート・ヒストリーのマスターを持ちサザビーズで仕事をしていたアンドレアが4人目のメンバーとして加わり、初のアート・エキシビションを成功させ現在の基礎を築いた。その後ファッションとフィルムのためのブランチを設立し、96年に若手フィルムメーカーをサポートするための最初のフェスティバルを開催。現在にいたるまで数々のファッションショーやアート、フィルム・イベントを成功させている。

 今回のフィルムフェスティバルでは7本のプレミアと併せて7本のショートフィルムが上映された。オープニングナイトはフィッシャー・スティーブンス監督、メリッサ・トメイ主演のロマンティック・コメディ『Just a Kiss』。その他今年のサンダンス映画祭のヒット作品『The American Astronaut』『American Chai』『Margarita Happy Hour』が上映された。またDr.ドレ、スヌープ・ドギー・ドッグ、2PACシャクールらを擁したデス・ロウ・レコードのドキュメンタリー・フィルム『Welcome To Death Row』は、ギャングスタ・ラップ・ビジネスの盛衰を描いた興味深い作品。上映作品のほぼすべてがソールド・アウトとなり、このフェスティバルの人気が伺える。新しい世代のために新しい映画の発掘を試みるGEN ARTの今後の動向に注目したい。

<上映作品一覧>
作品名 監督名 パーティ会場
『Just a Kiss』 フィッシャー・スティーブンス監督 LOTUS
『American Astronaut』 コリー・マッカビー監督 Upstairs at Studio54
『American Chai』 アヌラグ・メタ監督 13
『Welcome to Death Raw』 レイ・シャビッジ監督 CENTRO-FLY
『Margarita Happy Hour』 イリア・チャイケン監督 Rubber Monkey
『Amy's Orgasm』 ジュリー・デイビス監督 Light NYC
『The Chateau』 ジェシー・ペレツ監督 Pressure


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