TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)


 今回のニューヨーク、ショービズの話題はトニー賞について。トニー賞は舞台芸術界の最高に権威ある賞で、映画界のアカデミー賞のようなもの。ブロードウェイの演劇及びミュージカル作品、そして舞台制作に参加したスタッフや出演者を対象にしている。

 この時期になると毎年ブロードウェイ界隈はノミネート作品の話題で活気付く。5月3日に発表された候補リストを見ると、やはり何といっても今年一番の話題作は「プロデューサーズ」。マシュー・ブロデリックとネイサン・レインは共に主演男優賞候補に、その他作品賞、振り付け賞、脚本賞、演出賞などありとあらゆる賞にノミネートされ話題をさらっている。その総数はトニー賞史上最多の15部門。トニー賞の記録だけでなくこの作品は興行収入記録をも伸ばし、前売りだけで1400万ドルに達する大ヒットとなっている。オープニング後はチケット代も100ドルに値上がり、現在興行中のショーの中では最高額。これにトニー賞の肩書きがつけば、どこまでも果てしなく延びつづける興行記録が予想されるというもの。もちろんチケットは9月まですべてソールド・アウトとなっている。

 さて、今年のトニー賞候補の傾向としていわれているのが、映画と関連した作品が多いということ。話題の「プロデューサーズ」はもちろんだが、それに続くヒットとなっている「フル・モンティ」、リバイバル・ミュージカル作品賞の候補「ロッキー・ホラー・ショー」、「42ndストリート」、演劇作品では「カッコーの巣の上で」「ニュールンベルグ裁判」などが各部門にノミネートされているが、すべて過去に映画の名作といわれているものばかり。どのブロードウェイ作品を観劇するかチョイスに迷うとき、映画で観たという理由で興味を覚えたということで劇場に足を運ぶ人も多いだろう。また映画とブロードウェイ作品を見比べてみるのもおもしろい。

 6月3日に発表されるトニー賞、予想どおり「プロデューサーズ」の快進撃となるのか、また大どんでん返しが起こるのか注目したいところだ。


★★ トニー賞ノミネート作品抜粋 ★★
最優秀作品賞演劇部門
・The Invention of Love 「愛の創造」
・King Hedley (||) 「キング・へドリー(||)」
・Proof 「プルーフ」
・The Tale of the Allergist's Wife 「テイル・オブ・アレジスツ・ワイフ」

最優秀作品賞ミュージカル部門
・A Class Act 「クラス・アクト」
・The Full Monty 「フル・モンティ」
・Jane Eyre 「ジェーン・エア」
・The Producers, the new Mel Brooks Musical 「プロデューサーズ」

最優秀ミュージカル脚本賞
・リンダ・クライン&ロニー・プライス 「クラス・アクト」
・テレンス・マクナリー 「フル・モンティ」
・ジョン・ケアード 「ジェーン・エア」
・メル・ブルックス&トーマス・ミーハン 「プロデューサーズ」

最優秀作詞作曲賞
・エドワード・ケルバン「クラス・アクト」
・デビッド・ヤズベック「フル・モンティ」
・ポール・ゴードン「ジェーン・エア」
・メル・ブルックス「プロデューサーズ」

最優秀リバイバル作品賞ミュージカル部門
・Belles Are Ringing 「ベルズ・アー・リンギング」
・Follies 「フォリーズ」
・42nd Street 「42ndストリート」
・The Rocky Horror Show「ロッキー・ホラー・ショー」

最優秀リバイバル作品賞演劇部門
・Betrayal 「背信」
・Gore Vidal's The Best Man 「ゴア・ヴィダルのベスト・マン」
・One Flew Over the Cuckoo's Nest 「カッコーの巣の上で」
・The Search for signs of intelligent Life in the Universe
・「サーチ・フォー・サイン・オブ・インテリジェント・ライフ・イン・ザ・ユニバース」

最優秀主演男優賞演劇部門
・ショーン・カンピオン「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケット」
・リチャード・イーストン「愛の創造」
・コンレス・ヒル「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケット」
・ブライアン・ストークス・ミッチェル「キングス・へドリー(||)」
・ゲイリー・シナイス「カッコー巣の上で」

最優秀主演女優賞演劇部門
・ジュリエット・ビノシュ 「背信」
・リンダ・ラビン 「テイル・オブ・アレルジスツ・ワイフ」
・マリー・ルイス・パーカー 「プルーフ」
・ジーンスマート 「マン・フー・ケイム・トゥ・ディナー」

最優秀主演男優賞ミュージカル部門
・マシュー・ブロデリック 「プルデューサーズ」
・ケビン・チャンベリン 「スーシカル」
・トム・ヒューイット 「ロッキー・ホラー・ショー」
・ネイサン・レイン 「プロデューサーズ」
・パトリック・ウィルソン 「フル・モンティ」

最優秀主演女優賞ミュージカル部門
・ブリス・ダンナー 「フォリーズ」
・クリスティーン・エバソール 「42ndストリート」
・ランディ・グラフ 「クラス・アクト」
・フェイス・プリンス 「ベルズ・アー・リンギング」
・マルラ・シャフェル 「ジェーン・エア」

最優秀演出賞演劇部門
・ジェリー・ミッチェル 「キング・へドリー(||)」
・イアン・マクエリニー 「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケット」
・ジャック・オブライエン 「愛の創造」
・ダニエル・サリバン 「プルーフ」

最優秀演出賞ミュージカル部門
・クリストファー・アシュリー 「ロッキー・ホラー・ショー」
・マーク・ブランブル 「42ndストリート」
・ジャック・オブライエン 「フル・モンティ」
・スーザン・ストローマン 「プロデューサーズ」





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