TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住) |
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2001年トニー賞の発表が6月3日(米時間)、ラジオ・シティ・ミュージック・ホールで行われた。アメリカン・シアター・ウィングが主催するトニー賞は、ブロードウェイ・ミュージカルと演劇作品を対象とした、舞台エンタテイメント界では最も権威ある賞。その正式名称はアントワネット・ペリー賞といい、1946年に58歳の若さで亡くなったアメリカン・シアター・ウィングの会長アントワネット・ペリーの愛称からトニー賞と呼ばれている。 1947年に初めての授賞式がウォルドフ・アストリア・ホテルのグランド・ボールルームで行われて以来今年で55回目となるが、今回の授賞式では「プロデューサーズ」がなんと、15部門のノミネート中12部門にわたる賞を獲得するという新記録を樹立した。「プロデューサーズ」の快進撃は予想通りの結果とはいえ、新記録となったのはやはりビッグニュース。オープンしてまだ2ヶ月弱だが、これに勢いをつけて今後どこまで興行記録を伸ばしていくのかますます注目されることだろう。ちなみに前回の記録は1964年「ハロー・ドリー」が受賞した10部門。 「42ndストリート」の華麗なタップダンス、そしてマシュー・ブロデリックとネイサン・レインの司会で始まったトニー賞授賞式。まず最優秀リバイバル作品賞ミュージカル部門のノミネート作品「フォーリーズ」、「ベルズ・アー・リンギング」、「ロッキー・ホラー・ショー」のダイジェスト版ステージが繰り広げられる。それに続く「フル・モンティ」では一番の見せ場ストリップ・ショーの場面。これは実際劇場に足を運んでもう全幕観なくてもいいかって気になってしまいそうなくらいの大盤振る舞いだ。しかも10部門のノミネートにもかかわらず、受賞はゼロで不運な「フル・モンティ」だった。 注目されたプレゼンテーターは「レオ・ブルームの妻です」といって登場したサラ・ジェシカ・パーカー。マシュー・ブロデリックの「プロデューサーズ」での役名がレオ・ブルームだからというわけ。また映画界からはグウィネス・パルトロウが、最優秀主演女優賞演劇部門のプレゼンターとして登場。候補となっていたジュリエット・ビノシュは、残念ながらアカデミー賞と同じくここでも受賞を逃してしまった。ドラマ・デスク賞とダブル受賞となったネイサン・レインは、無理矢理マシュー・ブロデリックを引っ張り出してのスピーチ。ここでもふたりでの受賞ということを強調していた。マシュー・ブロデリックも不運といえば不運。「プロデューサーズ」は男性二人が主演するミュージカルで主演女優はいない。マシューが女優だったら二人ともそろって受賞出来たかも。 最終発表は最優秀ミュージカル作品で、もちろん天才メル・ブルックスが登場。第一声が「ヒットラーありがとう!!」というなんとも観客が引いてしまうギャグを飛ばす。「ネイサンとマシューは神からの贈り物」というスピーチに続いて「プロデューサーズ」のファミリー紹介が永遠に終わらないブルックス。後ろで頭を抱え込むネイサン・レインは、閉めの司会で「メル・ブルックスのスピーチ、まだ終わらないよ」といって床に引っくり返ってしまった。やっぱりこのベタさかげんは吉本新喜劇なのです。 |
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★トニー賞授賞式の模様は日本ではNHK BS放送にて6月8日放送予定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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トニー賞受賞作品抜粋 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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※「プロデューサーズ」は上記ほか、ミュージカル部門の舞台装置、照明、衣装、オーケストレーションでも受賞 |
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