TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)

　映画に登場した場所を訪ねて　Part９

　今回は映画のロケ場所として有名なニューヨークのレストラン２店を紹介しましょう。どちらも庶民派ニューヨーカーに愛されているお店です。


■カーネギーデリカテッセン＆レストラン
　ウディ・アレンの名作『ブロードウェイのダニーローズ』('84)は、ミッドタウンにあるカーネギーデリで集う芸人たちのよもやま話によって進行する。さえない芸人プロデューサーのダニー･ローズの可笑しなエピソードを彼らが競って披露する舞台であり、また奇妙で切ないダニーの恋愛がハッピーエンドとなるのもこのレストランの前だ。
　なんといってもこの店の名物は『ブロードウェイのダニーローズ』とネーミングされたパストラミとコーンビーフのサンドウィッチ。その分厚さは半端じゃない。通常のサンドウィッチなら5個分は確実に作れそう。アメリカ人ならこのあと巨大なチーズケーキを平気でたいらげるのだ。

　スモークサーモンのオムレツやロールキャベツもお薦めメニュー。
　店内に入るとカウンターの後ろにはウディ・アレン、シルベスター・スタローン、アレック・ボールドウィン、ジャネット・ジャクソン、セリーヌ・ディオン、ラリー・キング、トニ・ブラクストンらのサイン入りポートレイトがずらりと並ぶ。

　セレブやローカルの人々のお気に入りということで観光スポットとしてもはずせない。
◆Carnegie　Delicatessen ＆ Restaurant
854 Seventh Ave. at 55th St.
New York, NY
Tel: 212-757-2245


■グレイズ・パパイヤ
　ファストフードといえばホットドッグが定番のニューヨーカー。小腹が空いたら立ち食い蕎麦ならぬ立ち食いホットドッグ屋でケチャップとマスタードとレリッシュをたっぷりのせたソーセージとロールパンにかじりつく。アッパーウェストにあるグレイズ・パパイヤは激安ホットドッグが大人気。アッパーなエリアにありながら庶民の心強い味方だ。
　この店の特徴はコーラなどの炭酸飲料がないこと。パパイヤジュースやピナコラーダなどノンアルコール・トロピカル・ドリンクと100％ビーフが謳い文句。この二つのコンビネーションがジャンクフードをなんだかヘルシーそうなイメージに仕立て上げている。
　ダウンタウンにまったくそっくりな「パパイヤ・キング」という店があるが、ニューヨーカーはどっちが元祖かなんて気にしない。なかにはチェーン店だと思っているひともいる。

　ホットドッグを食べるためだけならどっちでもかまわないが、『ユー・ガット・メール』('98)や『天国からきたチャンピオン　2002』(01・未)のロケ地になったのはグレイズ・パパイヤの方なのでお間違いのないように。
◆Gray's Papaya
2090 Broadway
New York, NY 10023
Tel: 212-799-0243


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