TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住)
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映画に登場した場所を訪ねて Part10 ブルックリンブリッジ
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今回のテーマはニューヨークの景観を代表するブルックリンブリッジ。ニューヨークで最も美しいこの吊り橋は今まで数多くの映画の背景に登場しています。
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マンハッタンのシティホールからブルックリンハイツにかけてイーストリバーにまたがるブルックリンブリッジは、強靭なワイヤーロープを使ってナイヤガラの滝に吊り橋を架けたジョン・A・ローブリングの設計による。
工事は1870年1月に着工されたが、ジョンは1869年工事中の事故が原因で亡くなり、息子のワシントン・ローブリングが監督を引き継いだ。その彼も工事中に潜水病となり下半身が麻痺し声をうしなったまま配偶者のエミリー・ローブリングをアシスタントに川岸の自宅の窓から双眼鏡を使って監督を続けたという。 |
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19世紀末アメリカ近代技術の粋を結集して建造されたブルックリンブリッジは、そのほかにも30名近くにも上る多大な犠牲者をともなって14年以上の歳月をかけた末、1883年5月に完成した。 |
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二つの巨大な塔を持つブルックリンブリッジは完成直後からマンハッタンとブルックリンをつなぐ重要な交通路となったが、それ以上にニューヨークを印象付ける美しい景観を生み出した功績は大きい。
天気の良い日にはジョギングやサイクリング、散歩を楽しむ人々が後を絶たない。歩いてみると吊り橋ならではの振動を体感出来る。黄昏時から橋全体がライトアップされ、空が暗くなるにつれて光輝いていくマンハッタンの眺望と橋のイルミネーションがロマンチック。ウェイン・ワン監督、ハーヴェイ・カイテル主演の『スモーク』('95)でおなじみのブルックリンプロムナードからの眺望が一番良い。 |
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デンゼル・ワシントン主演『マーシャル・ロー』('98/エドワード・ズウィック監督)では、テロ事件がきっかけとなり軍事支配されたニューヨークが舞台。この中でブルックリンブリッジ周辺は軍事基地となりブルース・ウィリス演じる将軍が演説を行う場所となる。
『星の王子ニューヨークへ行く』('88/ジョン・ランディス監督)では、エディ・マーフィー演じるアフリカの王子が身分をかくしてハンバーガーショップの社長令嬢とデートするのがブルックリンブリッジのたもと。橋の下に住むホームレスとのからみも、さすがコメディの王子様エディ・マーフィー作品らしい。
そのほか『GODZILLA ゴジラ』('98/ローランド・エメリッヒ監督)、『ソフィーの選択』('82/アラン・J・パクラ監督)、『月の輝く夜に』('87/ノーマン・ジュイソン監督)など映画の中でブルックリンブリッジが重要なシーンとして選ばれている。
ちなみにジェリー・サインフェルドは『隣のサインフェルド』の仲間たちと毎年ニューイヤーにはブルックリンブリッジを歩いて渡り、橋の下にあるリバーカフェで食事をするのが恒例となっているらしい。もしかしたらブルックリンブリッジを歩いて渡ると何かいいことがあるのかもしれない。 |
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