TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 CMに登場する映画スター
 アメリカでは映画スターはあまりTV-CMに登場しない。その理由が「ビッグスクリーンのスターがCMごときに出られるか」というプライドなのか、はたまた法外なギャラなのかは定かではない。それでも最近はCMや広告キャンペーンに登場する映画スターが徐々に増えてきた。

 たとえばつい先日のアカデミー賞で、黒人女優として初の最優秀主演賞に輝き、涙の受賞スピーチが話題となったハル・ベリーは、ペプシの新製品レモン・フレイバーのペプシ・ツイストのCMや、レブロンのキャンペーンに登場している。ちなみに彼女は現在、やはり黒人初のボンド・ガールとして、イギリスで007シリーズ最新作『ダイ・アナザー・デイ』(02)のロケ真っ最中。
 また、オースティン・パワーズ第3弾『The Next Installment of Austin Powers』(02)への出演が決っているディスティニーズ・チャイルドのビヨンセ・ノウルズはロレアル・ヘアカラーの広告に起用され、タイムズスクエアの巨大ビルボードでブロンドの髪をなびかせている。

 大手電話会社ヴェライゾンの顔としてCMで活躍しているのは、大物黒人俳優のジェームズ・アール・ジョーンズ。スター・ウォーズ・シリーズのダース・ベイダーの声の人、と言えば判りやすいかも。対して携帯電話会社ボイスストリームの看板となっているのは、ジェイミー・リー・カーティス。
 そういえば、数年にわたって有名人をCMに起用し続けているメーカーも少数ながらある。スーパーなどで売られている箱入りケーキのメーカー、エンタメンツでは、スポーツ選手やシンガーなどを次々と起用してきた。最近では、今年のアカデミー賞でホスト役をつとめたウーピー・ゴールドバーグが、彼女のお気に入りはチョコレート・ドーナツだと“こっそり”教えてくれている。
 有名人が牛乳の白い口ひげをつけて登場し、もっと牛乳を飲もうと訴えるユーモラスな“Got Milk?”キャンペーンも長寿シリーズで、あらゆる有名人が出演している。映画界からはメラニー・グリフィス、ジャッキー・チェン、ネーブ・キャンベル、ダニー・デビート、リサ・クードローなどなど。スパイク・リー監督が登場したこともある。

 そして今、なんといっても目を引くのがGAP。実は昨年から思わぬ業績不振に陥っているGAPは、その起死回生策として広告への大量の映画スター投入を始めている。タイ・ディグス、ダニー・グローバー、ジュリー・デルピー、アンジェリカ・ヒューストン、そして主演のサスペンス・テレビドラマ『24』が大ヒット中のキーファー・サザーランド。
 テレビや街中で思わぬときにお気に入りのスターに遭遇できることが、映画ファンにとっては今やちょっとしたお楽しみとなっている。

※なお、映画スターの日本への出稼ぎCM出演(レオナルド・デカプリオやメグ・ライアン、古くはアーノルド・シュワルツネッガーなど)は、アメリカでは一応内緒ということになっていて、それを暴露するウエブサイトが話題になったこともあった。
■そのサイトはこちらから> http://www.gaijinagogo.com/


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