TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 サマー・フィルム・フェスティバル in NY

 ロバート・デ・ニーロのトライベッカ・プロダクション主宰による第1回トライベッカ・フィルム・フェスティバルが5月に開催されたばかりのニューヨークだが、これからいよいよ本格的なサマー・シーズンを迎え、フィルム・フェスティバルも花盛りとなる。


■第14回ニューヨーク・レズビアン&ゲイ・フィルム・フェスティバル
 ニューヨーカーはとにかく映画好き。毎週のように映画館に足を運ぶファンも多いが、上級ファンやマニアともなれば、各種のフィルム・フェスティバルにもマメに通う。一般の映画館ではかからないマイノリティ作品、インディーズ作品、外国作品などがズラリと並び、レクチャーやディスカッションも併せて行われることが多い。またオープニングやクロージングのパーティに参加すれば、新進気鋭の映画作家たちに会える確率も高い。

 レズビアンであることを公表している人気コメディアン、マーガレット・チョウのライブ・ムービー『Notorious C.H.O.』(02)のプレミア上映で6月6日に幕を開け、16日まで11間日もの長期に渡って開催中なのが、第14回ニューヨーク・レズビアン&ゲイ・フィルム・フェスティバル。
フェスティバル公式ポスター
恒例のゲイ・プライド・ウィーク(今年は6月23日-30日)に先駆けて行われるこのフェスティバルでは、同性愛者カップルの日常生活を描いた短編・長編や、エイズ問題に取り組むドラッグクイーンをフィーチャーしたドキュメンタリーなど、ゲイ、バイセクシャルおよびトランスジェンダーのアイデンティティを反映した作品を60本以上も上映する。ちなみに多数の上映会がすでにソールドアウトとなっている盛況振り。
フェスティバルのパンフレットより
■≫> http://www.newfestival.org


■第3回ニューヨーク・インターナショナル・ラティーノ・フィルム・フェスティバル
 7月30日から8月4日に行われるのは、第3回ニューヨーク・インターナショナル・ラティーノ・フィルム・フェスティバル。ラティーノとは、プエルトリコやドミニカ共和国など、カリブ海および中南米のスペイン語圏出身者のことで、ニューヨークではいまや全人口の27%を占めている。とは言え、映画界ではまだまだ少数派のラティーノたちが、自身のアイデンティティを映画というポップカルチャーを通して表すことを目的として始めたのが、このフェスティバル。

上映される作品のほとんどはインディーズ作品だが、今年は『スパイ・キッズ2:The Island of Lost Dreams』(02)がプレミア上映される。これは昨年、全米で大ヒットした子供向けアドベンチャー作品の続編だが、主人公のコルテス一家はラティーノという設定。監督はメキシコ出身で、いまやハリウッドで活躍するロバート・ロドリゲス。同監督の『デスペラード』(95)で主役を務めたスペイン出身のアントニオ・バンデラスが出演している。
■≫> http://www.nylatinofilm.com


■第6回アーバンワールド・フィルム・フェスティバル
 今年で第6回目となるアーバンワールド・フィルム・フェスティバルは、8月7日から11日にかけて開催される。そもそもはブラック・ムービーのフェスティバルとして始まったものだが年々規模が拡大し、現在はラティーノ映画、アジア系映画の部門も作られ、全米最大のマイノリティ・フィルム・フェスティバルとなっている。今年の上映作品はまだ発表されていないが、過去には『ソウルフード』(97)、『ラッシュ・アワー2』(01)など、数多くの質の高いブラック・ムービーが上映されている。
■≫> http://www.uwff.com
他にも夏のあいだに以下のフェスティバルが開催される。

第25回アジアン・アメリカン・インターナショナル・フィルム・フェスティバル
7月19日-28日
アジア系作家による長編/短編/ドキュメンタリー/アニメ/実験的作品を上映
■≫> http://www.asiancinevision.org
第18回イスラエル・フィルム・フェスティバル
6月13日-27日
全米最大のイスラエル映画祭
■≫> http://www.israelfilmfestival.com/


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