TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 ニューヨーク・シネマ噂話

 今回のニューヨーク情報は、マンハッタンにオープンした世界のアイドル、ブリトニー・スピアーズがオープンしたレストランや、大ヒットTVシリーズ『ザ・ソプラノズ』の映画化情報、そしてインドからNYに来たボリウッド・スターの悲喜劇など、バラエティにとんだ話題を3つお届けしましょう。


■絶好調ブリトニー・スピアーズのレストラン“Nyla”
 公開前に「しょせんアイドル映画だ」といわれていたわりには、フタを開けてみると「予想以上に面白かった」と好評を得た主演作『ノット・ア・ガール』(02)に続いて、『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』(02)にも、他の錚々たるスターたちと共にカメオ出演するブリトニー・スピアーズ。

 歌に映画にと忙しい人気絶頂のブリトニーが、ニューヨークにレストラン“Nyla”をオープンさせた。アッパー・イーストの瀟酒なディラン・ホテルの1階にあるこのレストラン、6月14日にプレオープンし、27日にはブリトニーも来店し正式な“ニューヨーク・デビュー”を飾った。

 Nylaとは、ブリトニーの出身地であるルイジアナの略表記LAとNYをかけ合わせて作られた言葉で、シーフードなどのルイジアナ料理が自慢。このレストラン、もちろん弱冠20歳のブリトニー自身のアイデアではない。
すでに観光客スポット?
 ニューヨークには、なんとセレブレティ・レストランを企画運営するプロがいて、これまでにパトリック・スウェイジの“マルホランド・ドライブ・カフェ”、億万長者ドナルド・トランプと離婚した女優マーラ・メイプルズの“ピーチズ”(どちらも既にクローズ)などを手掛けたオクスという人物が、ブリトニーならイケる!と思って開店させたのだ。

 さて、生き馬の目を抜くショービズ界で成功したブリトニーだが、やはり過当競争のNYレストラン・シーンで生き残ることは出来るのか?

◆Nyla
52 E. 41st St.
Tel: (212) 682-2860
ポップなデザインのメニュー


■『ザ・ソプラノズ』がビッグ・スクリーンに?
 日本でもwowowでオンエアされて好評のイタリア系マフィア・ドラマ『ザ・ソプラノズ』は、アメリカでももちろん大人気。常に高視聴率を取り、ゴールデン・グローブ賞やエミー賞も獲得。舞台となっているニュージャージー州には観光客まで押し寄せているほどだが、実はこれが人気の秘密の一端。『ゴッドファーザー』シリーズを始めとするニューヨークのマフィア物に視聴者が既に飽きていることを察した制作者が、舞台をニューヨーク州の隣りの、これといって特徴のないニュージャージー州に敢えて設定したのだった。

 こちらでは9月から第4シーズンが放映予定だが、今、この『ザ・ソプラノズ』の映画化が噂されている。ところが映画化に際しては、いくつかの問題があるという。まずは主人公トニーの母親リヴィアを演じたナンシー・マーチャンドが2000年に他界していること。また既に成長してしまった子役の年令をどう調整するか。さらにトニーの息子アンソニー役のロバート・アイラーが、役を地でいくゆすり問題で執行猶予中なのも気掛かりなところ。さて、ジェームズ・ガンドルフィーニ演じる哀愁のマフィア、トニー・ソプラノにビッグ・スクリーンで会える日は来るのか。


■ボリウッド・スターはテロリスト?
 7月16日にシカゴからニューヨークのラガーディア空港に向かったアメリカン・トランス・エアライン204便に、2機の戦闘機が警護に付くという騒ぎがあった。騒動の元となったのは、同機に乗っていたボリウッド・ムービーのスター女優、サミュクサ・ヴェルマ(20歳)とクルーの計7人。

 アメリカ各地でショーを行うためにインドからやってきたサミュクサは、ニューヨークでのショーのために同機に乗り込んだ。インドでは既に18本もの映画に出演し、大スターとなっているサミュクサだが、今回が初ニューヨーク。すっかりエキサイトしたサミュクサとクルーは、ニューヨークを上空から眺めたくて窓際の席に交代で座った。それを見た他の客が不審に思ってスチュワーデスに訴え、最終的には戦闘機の登場となった次第。
本国では大スターでも・・・。
 一行は空港に着いた途端に尋問され、午前4時にやっと解放されたとか。ちなみにサミュクサはインド人でヒンドゥ教徒。アラブ系でもなければ、イスラム教徒でもない。アメリカ人のテロに対する消えない恐怖心と他民族への知識の欠落が招いた、ボリウッド映画も顔負けの笑えない喜劇であった。


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