TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 シネマな夏のブロードウェイ情報

観光客で賑わう夏のブロードウェイには、映画俳優が出演する作品、映画化もされた作品が目白押し。こういった作品ならコアなミュージカル・ファンでなくとも気軽に舞台が楽しめそうだ。今回は、そんなムービー・フレンドリーな作品をご紹介。
 まずは8月11日に始まったばかりのリバイバル『Frankie & Johnny in the Claire de Lune』。これは87年にキャシー・ベイツとF・マーリー・エイブラハムによって上演され、91年にはミシェル・ファイファーとアル・パチーノによって『フランキー&ジョニー』として映画化された作品の再演。ニューヨークのダイナーで働くウエイトレスとコックのぎこちないロマンスとセックスのありさまを今回演じるのは、テレビ・ドラマ『ソプラノズ』のエディ・ファルコと、『ロード・トゥ・パーディション』(02)、『ペリカン文書』(93)の個性派スタンリー・トゥッチ。
『フランキー&ジョニー』のポスター。
エディ・ファルコとスタンリー・トゥッチ
 大人気のうちに幕を閉じたミュージカル『Fosse』のベン・ヴァリーンと、『ビューティフル・マインド』(01)、『普通の人々』(80)などで渋い演技を見せているベテラン、ジャド・ハーシュによるリバイバル『I'm Not Rappaport』は幕開け早々好評を博している。これは86年にトニー賞を受賞し、96年にはウォルター・マッソーとオシー・デイビスのコンビにより『俺たちブラボー・ブラザーズ ホラ吹いて行こう!』として映画化された作品。

 天才数学者の娘で、やはり並はずれた数学の才能を持つ若い女性を描きロングランとなっている『Proof』。初代メアリー・ルイーズ・パーカー、二代目ジェニファー・ジェイソン・リーに続いて、三代目の主役にも『6デイズ/7ナイツ』(98)、『ドニー・ブラスコ』(97)などに出演している映画女優アン・ヘッチが抜擢された。
『プルーフ』の劇場ネオンサイン
 また、同じくロングランの『Cabaret』も主役が順次替わり、現在は86年に『プリティ・イン・ピンク』で一躍アイドルとなったモリー・リングウォルドが健闘中。

 ダスティン・ホフマン主演の名作映画『卒業』(67)の舞台化作品『The Graduate』で主人公の青年を誘惑するミセス・ロビンソンを演じているのは、『ローズ家の戦争』(89)、『白いドレスの女』(81)の熟女キャスリン・ターナー、その娘役は『クルーレス』(95)のアリシア・シルバーストーン。

 トニー賞ベスト・ミュージカル・リバイバル賞を受賞したファンタジー・ミュージカル『Into the Woods』で、その美貌と歌声を遺憾なく発揮しているのはシンガー兼女優で、『シャフト』(00)、『イレイザー』(96)などに出演しているヴァネッサ・ウィリムス。
『卒業』のポスター。母娘を演じるキャスリーン・ターナーと
アリシア・シルバーストーン
 黒人兄弟間の葛藤を描き、ピューリッツアー賞を受賞した『Topdog/Underdog』に主演しているのは、ラッパーでありながら最近は役者としても『ショータイム』(02)、『チョコレート』(01)などで個性を発揮しているモス・デフと、『アリ』(01)、『バスキア』(96)などで実力派アクターとして評価されているジェフリー・ライト。この作品は9月1日でクローズとなる。

 ブロードウェイではないが、毎夏恒例の『シェイクスピア・イン・セントラルパーク』にも、今年はテレビ・ドラマ『NYPDブルー』でお馴染みのジミー・スミッツと、『セイブ・ザ・ラスト・ダンス』(01)のジュリア・スタイルズが登場。ジュリア・スタイルズは、実は『O〔オー〕』(01)、『ハムレット』(00)、『恋のからさわぎ』(99)とシェイクスピア原作映画に多数出演しており、ステージも好評のうちに8月11日に幕を下ろした。
『トップドッグ/アンダードッグ』ポスター。
ジェフリー・ライトとモス・デフ


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