TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 マクドナルド on ブロードウェイ&42ndストリート

 世界中の観光客を惹き付けて止まないタイムズスクエアに、またひとつアトラクション・スポットがオープンした。“ブロードウェイ劇場のバックステージ”をコンセプトに作られたマクドナルドのブロードウェイ&42ndストリート店だ。今回はその内部をのぞいてみよう。
 9月25日、名作ミュージカル『42ndストリート』の特別パフォーマンスと共にグランド・オープンしたこのマクドナルドは、42ndストリートのブロードウェイ近くにあり、向かって左隣りは『ライオン・キング』を上演中のニュー・アムステルダム・シアターとディズニー・ストア、右隣りはマダム・タッソー蝋人形館という絶好のロケーション。

 マクドナルドの都市型店舗としてはアメリカ国内最大の17,500平方フィートもあり、300人を収容可能。広い店内は“ブロードウェイ劇場のバックステージ”をコンセプトに設計されており、入り口外部のマーキー(天蓋)も劇場を模している。
7,500ヶもの電球がまばゆく輝くマーキー
 なんと7,500個もの電球を使っているこのマーキーは、その下を通り抜ける際には眩しさに思わず目をしかめてしまうほど。
 ところが一歩店内に足を踏み入れると、そこはまさに劇場のバックステージ。従来の赤と黄色のプラスチックで彩られたマクドナルドとはまるで違った雰囲気だ。

 入り口正面の注文カウンター脇には、あえて狭く作られた奥行きのあるカウンター・スペースが設けられている。楽屋からステージへの通路をイメージしてあるのだ。元の建物にあった古いレンガ壁をそのまま活かし、そこに黒いスティールとライトを備え付けた様はまさに本物のバックステージ通路。
劇場のバックステージ通路を模したカウンター席
 2階、3階のテーブル席エリアに上がると、建物全体が吹き抜けになっているので1階客席を見下ろすことができる。まるでステージ上方の大道具通路に立っているようだ。ただし本物の劇場通路とは違い、大型スクリーンのカラフルな映像が目に飛び込んでくる。

 このマクドナルド店内には合計18枚もの42インチ・プラズマ・スクリーンと、27ヶの15インチ・モニターが設置されていて、それぞれのスクリーンにはマクドナルドとコカコーラの懐かしいCMや、ディズニー作品の映像が途切れることなく映し出されている。
 現在もっとも頻繁に流されているのは、10月11日に公開が始まったばかりの『Tuck Everlasting』の予告編。少女と少年を主人公にしたファンタジー作品で、ウィリアム・ハート、シシー・スペイセク、ベン・キングズレーといった実力派が脇を固めている。他には11月1公開、ティム・アレン主演の『サンタクロース2』、11月27日公開のアドベンチャー・アニメ『Treasure Planet』なども繰り返し流されている。

 しかし、このマクドナルドのある42ndストリートには大型シネコン2館があり、かなりの数の映画ファンも映画鑑賞前後に訪れているはず。せっかくならディズニー作品だけではなく他社の新作予告編も見たいもの。
大型スクリーンにはディズニー映画の予告編
 ところで、現在マクドナルドは世界121ヶ国に3万店以上もの店舗を展開しており、毎日4,600万人が訪れているとか。ニューヨークにはマンハッタンだけでも50軒近くがある。ところが不思議なことに映画のロケ地としてマクドナルドが登場することはほとんどない。

 あえて挙げるとすると、エディ・マーフィ主演の『星の王子ニューヨークへ行く』('88)。アフリカのリッチな王国からニューヨークのクイーンズに花嫁探しにやってきたエディ・マーフィ演じる王子が身分を偽って働くのが、マクドナルドに似せた“マクドウェル”というハンバーガー・ショップ。アーチ型のMのロゴまでそっくりで、劇中マクドナルドの社員が偵察にやってくるほど。しかしながら本物のマクドナルドはやはり登場しない。
カウンターに掲げてあるメニューの写真も動画でびっくり
ハンバーガーが突如、アップで映し出される
 それはさておき、このマクドナルド・ブロードウェイ&42ndストリート店、ビッグマック・ミール(セット)Lサイズ$6.08と他のマクドナルドよりも料金は少々高めだが、映画&ミュージカル・ファンなら一度は訪れてみたい観光スポットだ。


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