TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 CMに登場する映画スター #2

 映画スターがCMに登場することが比較的少ないアメリカでも、化粧品メーカーは例外。常に何人ものトップ・アクトレスがあでやかな笑顔を競い合っている。また、近頃は他の業種でも意外な大物アクターを大抜擢したCMも見かける。今回はそんなスターが登場するCMをまとめて紹介!
 数ある化粧品メーカーの中でも、ロレアルは商品別に違った女優を何人も起用することで知られている。現在はヘアカラーにアンディ・マクダウェルと、テレビ・シリーズ『ダーク・エンジェル』のジェシカ・アルバ、口紅やマスカラなどのメイクアップ製品にはミラ・ジョヴォビッチというラインナップ。また、アメリカ人女性にとって永遠の憧れであるブロンド専用のヘアケア製品CMには、テレビ・シリーズ『スピンシティ』『メルローズプレイス』のヘザー・ロックリア、『アリー・マイ・ラブ』のポーシャ・デ・ロッシが出演中。共に輝くブロンド・ヘアがトレードマークの女優だ。

 レブロンもマイノリティ購買層向けにハル・ベリー、30代以上向けブランドにはジュリアン・ムーアを起用していたが、現在はハリー・ベリーが黒人初のボンドガールとなった『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)とのタイアップ・キャンペーンを展開中。
レブロンの30代以上向けブランドのCMに抜擢されたジュリアン・ムーア
 この作品、公開第一週の興行成績4,700万ドルで1位を獲得したが、これは歴代007シリーズの中でも最高額。ちなみにハリー・ベリーは現在『X-Men』(00)の続編『X-Men 2』をカナダにてロケ中。

 家電チェーンのラジオシャックは、テレビ版『スーパーマン』のロイス・レイン役で知られ、『スパイキッズ』(01)など映画にも出演しているテリ・ハッチャー&元アメフトのスター選手ハウイー・ロングの白人コンビ、ヴァネッサ・ウィリアムス&ヴィン・レイムスの黒人コンビによる2種類のシリーズCMをオンエア。ヴァネッサ・ウィリアムスは歯みがきペースト“クレスト”のCMにも出演中。
『007/ダイ・アナザー・デイ』が大ヒット中のハル・ベリー!
 クーポン券付きの新聞広告チラシでよく目にするのが、ラベルにポール・ニューマンの顔を描いた“ニューマンズ・オウン”というブランドのサラダドレッシング。商品のフレイバーに合わせて、ラベルのポール・ニューマンがメキシコのソンブレロを被っていたり、スペイン風の衣装を着ていたりするのが愉快。そもそもは友人たちへのクリスマス・プレゼントとして自家製サラダドレッシングを作っていたポール・ニューマンが、あまりの評判の良さから1982年に会社を設立。ただし売上は全て教育団体などに寄付されており、これまでの寄付総額は1億2,500万ドルにも上っている。
 マクドナルドのCMには『バーバーショップ』(02)のセドリック・ザ・エンターテイナーや、テニスのヴィーナス&セリーナ・ウィリアムス姉妹が登場。セリーナは将来のプランとして女優業にも興味があるとインタビューで語っている。

 新興の携帯電話メーカーのTモービルはキャサリン・ゼタ=ジョーンズを使って大々的にキャンペーン中。ゼタ=ジョーンズがコーヒーショップなどに出没し、さまざまな理由で“困っている人”に携帯電話を渡してトラブルから救うというコミカルなシリーズCMがなかなか好評だ。イギリス出身でややスノッブなイメージのあったゼタ=ジョーンズが、新たな面を見せて頑張っている。

 コカ・コーラ社は今年の初夏に新製品“バニラコーク”を発売開始した。残念ながらオンエアは既に終了してしまったが、CMにはニューヨークが誇るイタリア系アクター、チャズ・パルミンテリが登場。
携帯電話TモービルのCMではファッションもカジュアルにイメチェンしているキャサリン・ゼタ・ジョーンズ
いかにもマフィア風のチャズ・パルミンテリと用心棒が部屋の中に若い男性を引きずり込み、物静かだがドスの効いた口調でバニラ・コークの宣伝を始めるといったストーリー。チャズ・パルミンテリが自身のマフィア・イメージをセルフ・パロディにしたものだった。

 映画スターがCMに出演するのは、短時間の撮影にもかかわらず高額なギャラが手に入るため。しかし二次的な理由もあり、化粧品のCMでは女優たちは、その“美しさ”を強調できるし、映画出演時とは違ったキャラクターを演じてイメージ・チェンジを図ることもできる。スターを起用したCMは、企業のみならずアクターにとってもプラス効果が大きいようだ。
映画出演の経験もあるNBAスター、
マイケル・ジョーダンも下着メーカー、
ヘインズやソーセージのCMに出演


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