TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)
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映画に登場した場所を訪ねてPart13~『恋人たちの予感』
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ニューイヤーズ・イブにハッピーエンディングを迎えるロマンチック・コメディと言えば、メグ・ライアン&ビリー・クリスタルの『恋人たちの予感』。秋から冬にかけてのニューヨークの風景がたっぷり楽しめるこの傑作のロケ地を探訪!
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『恋人たちの予感』('89)と言えば、ロウアーイーストサイドにあるジューイッシュ・デリ「カッツ」での、メグ・ライアンのオーガズム・シーンがなんといっても有名。しかし他にもニューヨークの有名な場所が次々と登場するのだ。
物語が始まるのは1977年のシカゴ。大学を卒業したばかりのサリー(メグ・ライアン)と、大学院を終えたハリー(ビリー・クリスタル)は、就職先のニューヨークまで18時間のドライブを共にする。ところが、まったく気の合わなかったふたりはマンハッタンのワシントンスクエア公園に到着した途端、あっさり右と左へと別れてしまう。 |
シャーパー・イメージ/ちょっと変わったプレゼントを買いたいなら、この店へ。(Madison Ave. bet. 72nd & 73rd Sts.)
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それから5年。ジャーナリストとなったサリーと、政治コンサルタントになったハリーは、ニューヨークのラ・ガーディア空港でばったり再会。ハリーは既に結婚しており、サリーにも新しい恋人が出来たばかり。今回もふたりはそのまま別れてしまう。
さらに5年が経った1987年。31歳のサリーは恋人と別れ、36歳のハリーは離婚の危機にあった。サリーはセントラルパーク内74丁目にある「ローブ・ボートハウス・カフェ」で、ハリーはニューヨーク・ジャイアンツのアメフト・スタジアムで、それぞれの親友に境遇をグチる日々。そんなある日、ハリーとサリーは「シェークスピア書店」のダウンタウン・ブロードウェイ店でまたもや再会する。共に傷心のふたりは、ついに<プラトニックな関係の友だち>となる。 |
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ふたりは男と女の関係について延々と語り合うが、その背景に紅葉や雪の美しいセントラルパーク、メトロポリタン美術館、ロックフェラーセンター、街角のデリやチャイニーズ・レストランなどが次々と登場する。そして大晦日の夜、ふたりはドレスアップしてニューイヤーズ・イブ・パーティに出掛け、ダンスとシャンパンを楽しんだあと、<友だち>としてのぎこちないキスを交わす。
年が明け、ふたりは恋人獲得のために、それぞれの親友を紹介し合うことを思いつく。サリーの親友マリーをハリーに、ハリーの親友ジェスをサリーに引き合わせるのだ。ところが当初のプランに反し、なんとマリーとジェスがカップルとなってしまう。サリーとハリーがふたりへのウエディング・プレゼントを買いに行くのが、アッパーイーストサイドにある「シャーパー・イメージ」という店。ギフトに最適の、ちょっと変わったエレクトロニクス製品や小物で有名な店だ。 |
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シェークスピア書店/写真はアッパーイースト店(Lexington Ave. & 69th St.)。映画に登場するのはダウンタウン店(719 Broadway near West 4th St.) |
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やがてサリーとハリーにもそれぞれ新しい恋人ができるが、なぜかしっくりこない。おまけにサリーは昔の恋人ジョーが結婚したことを知り、大ショック。サリーのアパートを訪れ、泣きじゃくるサリーをなぐさめていたハリーだが、ふたりはそのままベッドインしてしまい…。
この出来事ですっかり気まずくなったふたりはロクに口もきかないまま、またもや大晦日を迎える。エスコート相手もいないまま、ドレスアップして去年と同じニューイヤーズ・イブ・パーティに出掛けるサリー。かたや自宅でのごろ寝にも飽きてダウンタウンをひとり歩き、サリーとの思い出に耽るハリー。やがてハリーは、サリーこそがもっとも大事な相手だったと気づき、ジーンズ姿のまま、ゴージャスなパーティ会場に駆けつけるのだった。
メグ・ライアンがロマコメの女王としての地位を確立したこの作品、時代を物語るファッションも楽しい。最初の出会いのシーンでは、サリーはいかにも70年代なファラ・フォーセット風ヘアスタイルとブルーのアイシャドウ。それが5年後の空港での出会いでは、当時流行していたトラッド・ファッションに変化している。さらに5年後も、まだ<80年代カルチャー>全盛時。サリーのメイクやヘアスタイル、エアロビクス教室のシーンなども、今となっては懐かしい光景だ。しかし<男と女は友だちになれるか?><男と女にとってセックスとは?>といった永遠の疑問が全編のテーマでもある。今年の大晦日、恋人と一緒に改めて観てみるのも良いかもしれない。 |
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