ポスターや予告編などでその映画を表現する際、作品やタイトルを強調 する“飾り”として宣伝文句を用います。例えば手っ取り早くその作品 のスケール感を出したい時に皆さん御馴染みの“全米No.1大ヒット!”という文句を使います。普段あまり映画を観ない方だと、これが付いていて当然と思うかもしれませんね。でも、この文句が付くと付かないで は皆さんの映画を選ぶ際の安心感が違うのではないでしょうか?ただ、どれも同じように“全米No.1大ヒット!”では目新しさがないので、“新記録達成!”とか、“~週連続第1位!”などにして差別化を図ります。

 では、このような文句を付けられない場合、つまり全米でNo.1にならなかった場合どうするかというと、その作品の売りになるものをアピールするのです。例えば“全米で興収~万ドルを超える大ヒット”“公開 ~日間で~万ドルの大ヒット”と成績の良さをアピールしたり、誰もが知っている監督や役者が主演の作品であれば、彼らを前面に出していきます。“~監督作品”“~主演最新作”といった感じですね。

 では、作品の質の良さを売りたい時にはどうするか。そういった映画を 宣伝するにあたってベストなのは、「アカデミー賞」と連動する方法です。やはり「アカデミー賞」は信用度が高いのです。アカデミー賞の候 補作品は前年の12月までに公開した作品が該当するので(ノミネート 発表は翌年2月、授賞式は3月)秋から正月くらいまでの公開作品ならば“アカデミー賞候補作品”と宣伝することが可能になります。勿論、正式にノミネートされれば、“アカデミー賞主要~部門ノミネート”受賞すれば“本年度アカデミー賞主要~部門受賞!”という宣伝文句を使います。アカデミー賞以外にも海外には様々な賞があるので、そこそこ名の通っている賞を受賞していればそれを活用していきます。

 上記にあてはまらないような作品に対しては、その作品の中身を一言で 伝えられる、いわゆる“コピー”(古い言い方だと惹句[じゃっく]と もいう)と呼ばれる宣伝文句を使います。通常コピーはポスターなどで 作品の内容を理解させる補助的なものです。例えば、面白い作品なのに有名な人が誰も出ていないとか、観れば絶対に気に入ってもらえるよう な作品では、大きく打ち出されたコピーが重要なのです!

 あ最後に、映画の公開初日なのにTVスポットで“大ヒット上映中!”と か“絶賛上映中!”となっている表示を見て疑問に思ったことはありませんか?これは映画につけるお約束の宣伝文句なのです。悲しいことに公開される全ての映画が必ず大ヒットする訳ではありません。そういう映画はごく少数です。だからといって正直に、“大ブーイング上映中!” だったら、その映画を観たいと思う人はあまりいませんよね。(これはこれでどんな映画なのか観てみたいと思うかもしれませんが)だからヒットしていようがいまいが“大ヒット上映中!”“絶賛上映中!!”と宣伝するのが当たり前になっているのです。

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