さて、今回のテーマ「週間アベレージ」ですが、一般の方はまず聞き慣れない用語だと思います。これは劇場関係者が使う用語で、略して"週アベ"と言われています。昔から、映画は水モノと言われるように、よほどの作品でない限り"この作品は絶対大ヒットする!"と断言出来るものではありません。大して期待してない作品が大化けしたり、大ヒットと期待されていた作品が期待外れに終わったりということがしばしば起こります。ただ劇場は1年中映画を上映していく上で、年間の予算作成等の為にもある程度の興行収益の目安を把握しておく必要があります。その目安が"週アベ"と呼ばれるものなのです。

 この"週アベ"とは、各劇場の前年までの最近3年間の1週間興行成績全てを平均化した社外秘のデータで、ムラのある映画興行においてかなり信頼性のあるものになっています。劇場はこの"週アベ"のデータを目安に、公開作品が数値をどれだけ上回っているかをみて何週間ぐらい上映出来るかを判断するのです。

 非常に大雑把に言えば、"週アベ"を上回っているうちは上映続行、下回れば上映終了ということになります。ただ、現実問題として各チェ ーンとも公開を待っている作品が詰まっているので、劇場側は予めこの作品は何週間くらい上映出来るかという目安を、アメリカでの公開状況や前売りの販売状況から決めています。ですから、"週アベ"を上回っているのに上映が終了してしまうということは多々あります。また状況 にもよりますが、公開1週目から大幅に週アベを下回ってしまっていれば、2週目で上映終了(打ちきり)ということが有り得るのです。

 配給会社と興行会社(劇場)は、事前に興行収入のそれぞれの取り分を、大抵の場合は6:4ぐらいで原契約として取り決めています。しかし、それはあくまで"週アベ"を上回っている作品に対して適応されるので、下回っているものに関しては、"アジャスト(調整)"といって劇場側の取り分の方が多くなってしまうのです。

 もし皆さんが絶対に劇場で観たい、という作品があってそれがあまり話 題作でない場合は、なるべく公開後2週間以内に劇場に足を運んでおいた方がいいと思います。そうでないと、気がついたら上映終了していたなんてことがあるので、お気をつけ下さい。前売り券を持っているのに2週間で終了していたなんて場合は、劇場側の都合ですのでなんとか対応をしてくれるはずですが…。

 ちなみにこの"週アベ"は毎年新しいデータになります。もし前年にロ ングラン公開するような超大ヒット作品が公開されていた場合、その公開劇場のデータが引き上げられるという現象が起こります。そういった場合でも"週アベ"を目安にしているので、他の配給会社がその影響を受けてしまい、"週アベ"が必ずしも信頼できるとは言えない時もあるのです。

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