基本的に映画館は休むことなく1年間365日毎日何らかの映画の上映を行っています。でも1年間に上映される映画全てがヒットするというのは、はっきりいって無理なことです。この場合のヒットとは、混雑しているという見た目だけではなく、映画館(興行会社)も配給会社も黒字になるということです。
最近の興行の状況を考えると平日は最終回でも余裕で座れ、土日の午後(2~4時)の回のみ混雑するといった感じだと思います。シネコンが出来たことによる観客の分散化及び定員入替制の導入などもあり、ここ最近では混み合うという状況も(もちろんもの凄く話題になっている映画だとすると状況は異なるでしょうが)ほとんど起こらなくなってきているようです。 映画館にしてみれば、毎月第一水曜日の映画ファンサービスデーや毎週水曜日のレディーズデー以外は平日に混み合うことはまず期待出来ないので(超話題作などは別ですが)、土日に期待をかけることになります。ですが最近は土日でもよほどの話題作でない限りはあまり混雑しないという、非常に厳しい状況にあります。映画人口は年々増えているわけではなく“限られている”ものだということです。つまり現在のようにシネコンが多数存在する状況下では(まだまだ増えていくようですが)、まさに映画館同士で観客の取り合いが起こっていると言い換えられます。 それでも以前は、人々(主に学生)が休みである「春休み」(3月後半~4月初旬)、「GW」(4月下旬~5月初旬)、「夏休み」(7月下旬~9月上旬)、「冬休み」(12月下旬~1月初旬)といった時期は映画館にとっていわゆる“書き入れ時”でした。映画はレジャー産業なので、やはり一般の方が休みの土日や休みの時期が当然集客もよくなります。いろいろと不安材料が多く収入の見通しが立ちにくい映画という商品ですが、これらの混雑期にはかなりの集客ができ、閑散期の数倍以上の収入が見込めるのです。つまり、これらの時期にいかに多数の観客を映画館に来場させられるのかということが映画館にとっては勝負なのです。 当然、興行会社はこれらのシーズンの前には話題作・大作を用意して更なる集客アップを図ります。家族で映画を観賞する機会も必然的に増えるのでファミリー向けの映画(アニメやディズニーブランドの映画など)が用意されるのもこれらの時期になります。一番混雑するのは、当然一番休みが長い「夏休み」(特にお盆の時期)ということになり、各社作品が勢揃いします。 これらの時期に映画を観ようとすると、それなりに混雑を覚悟しなくてはなりませんでした。ですが、ここ最近はそのような傾向も変化しつつあります。勿論通常時よりは混雑するのですが、その混雑具合がそれ程でもなくなってきているのです。期待されている時期だけに、こんな状況が続けば映画館にとっても配給会社にとっても大問題です。 現在は昔とは違い、映画以外にも様々な娯楽がありますし、携帯やネットの普及による出費などもかさむ傾向にあるので、映画の料金が高いと感じられるようになってきているのかもしれません。シネコンが各種の料金割引サービスを実施している以上、既存の興行会社も料金を含めて抜本的な見直しをしていかなければ、映画館に観客を呼ぶことが難しくなってきています。 ネットで最近盛んに叫ばれているブロードバンド、常時接続などが本格的に普及してくれば、当然映画は魅力あるコンテンツなので、それこそ自宅で最新封切り映画を観るのが当たり前になってしまうのかもしれません。そこまでいって初めて、逆に大画面・大音響で大勢で映画を観賞することの良さが再認識されるようになるのかも…。とにかくひとりでも多くの人が映画館を訪れたくなるよう、映画館も、そして私たち配給会社も努力をしていかなくていけませんね。 |