映画のレイティング(年齢制限)

 皆さんは映画の情報欄などで“PG‐12”とか“R‐15”といった表記を見ることが多くなったと思いませんか?昨年末に大ヒットした映画『バトル・ロワイヤル』での一連の騒動もあり、特に“R‐15”という表現は記憶にも新しいのではないでしょうか。

 これらはレイティングと呼ばれる年齢制限の表記で、日本では映倫管理委員会(通称:映倫)がその指定に関する判断を下しています。そもそも日本で公開される映画は必ず映倫の人間の目を通すことになっているのです。映画上映前、タイトルの下などに小さく映倫のマークがあるのをご存知の方もいると思います。あの映倫マークは「映倫がこの映画を審査済み」というしるしなのです。

 日本では現在、映倫により“一般”、“PG‐12”、“R‐15”、“R‐18”という4段階のレイティング区分で指定されています。“一般”はその名の通り、年齢制限がなく広く一般に観て構わないという作品で、ほとんどの作品は“一般”に該当します。“PG(PARENTAL GUIDANCE)‐12』は、「12歳未満は保護者の同伴が適切」とするものです。1998年、当時ナイフを使った青少年の事件が多発し社会問題となった為、それまでほとんど規制を受けていなかった、主にホラー映画などの暴力・残酷描写をその対象としてこのレイティングが設置されました。但し、入場を禁じるといったほどの規制力を持つものではありません。

 “R(RESTRICTED)‐15”は、以前“R指定”と呼ばれていましたが、“PG‐12”の導入に伴い改称されました。15歳未満の入場は禁止なので(つまり中学生は入場出来ないということになりますね)かなり強い規制力を持ちます。“R(RESTRICTED)‐18”も、以前は“成人指定”と呼ばれていたもので、こちらは18歳未満の入場を禁止(高校生も入場出来ません)しています。

 “一般”以外のレイティングを受けた作品は、その旨をポスターやチラシなどに明示していかなくてはなりません。但し、これらの映倫によるレイティングはあくまで“自主規制”によるものですが、作品によってはレイティングで一番観て欲しい世代に観てもらえないということになってしまうので、配給会社や製作者と映倫との間で論争が巻き起こることがあるのです。

 日本のレイティングは、アメリカのレイティングを意識してはいますが、どちらかと言えばもう少し緩いレイティングです。アメリカは日本より多い5区分がMPAA(Motion Picture Association of America)によって決められています。“G”(一般)、“PG”(児童に不適切な箇所あり。保護者の判断が必要)、“PG‐13”(13歳以下の児童には不適切な箇所あり。保護者の判断が必要)、“R”(17歳以下の青少年は親か成人の保護者同伴が必要)、“NC‐17”(17歳以下は観賞禁止)と分けられています。日本はかねてより“性描写”に関しては結構敏感でしたので、“R‐15”(旧称:R指定)、“R‐18”(旧称:成人指定)といったレイティングは主に性描写に関してのものでした。それが昨今の少年犯罪の増加によって、ホラー映画などの暴力・残酷描写もレイティングの対象になってきたという訳なのです。

 最近、“一般”以外のレイティングを受けた作品は、『バトル・ロワイヤル』、『ザ・セル』、『ハンニバル』、『ベーゼ・モア』、『g:mt』が“R‐15”、『スナッチ』が“PG‐12”と、その暴力・残酷描写あるいは性描写などによりレイティングを受けています。従来はレイティングは興行的にはマイナス的なイメージしかありませんでした。しかし、最近ではレイティングはその本来の意味よりも、逆にその映画の中身を強調し、興味をそそるという宣伝効果の方が高いのではないか?つまり場合によっては映画会社にとってプラスに働くことも多いのではとも思います。

 皆さんも上記のような作品をご覧になる時、どこの部分がレイティングを受けたのかといったことを個人レベルで考えて作品を観てみると、また映画が違ってみえてくるかもしれませんね。(ちなみに『g:mt』がレイティングを受けたのは、前半の物語の中の数十秒程度の性描写シーンによるものでした…)
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