パブリシティとは?(TV編)

 前回パブリシティに関して主に雑誌について述べました。今回は、雑誌以上に重要になる「TVパブリシティ」というものを取り上げていきたいと思います。
 TVという媒体は雑誌以上に一度にたくさんの人が観ている媒体ですので、そこで作品の告知や映像を流すというのは非常に効果的な宣伝となります。一番効果があるのは恐らく大量に投下するTVスポット(CM)でしょう。(最近では『A.I.』や『パール・ハーバー』が凄い数のTVスポットを流していますね)。しかし、これらのTVスポットは非常に高額なので、映画会社もこれぞという作品しか流すことは出来ません(お金を持っているメジャー会社は例外の場合も多いです。つまりこの作品でも流すの?という作品もあります)。

 TVスポットは数千万円規模から流すことが出来ますが、多くの人に確実に見てもらうには数億円規模が必要になるのですから大変です。従ってTVスポットとは別の形で、なるべくお金をかけないでTVで映像を流してもらうことが重要になります。これがTVパブリシティです。

 しかし、作品ををしっかり紹介してくれる映画専門の情報番組や、映画情報を扱う番組は限られていますので、数少ないそういった番組で確実に取り上げてもらうことが重要になります。最近ではTBSで土曜日に放送している「王様のブランチ」の映画紹介コーナーで作品を取り上げてもらうことが非常に効果が高いと言われています。それはその視聴率や映画を丁寧に紹介するという姿勢及び多くの人が映画選びの参考にしているということによります。

 「王様のブランチ」のようにレギュラーで映画情報を扱ってくれる番組も一時期より増えてきましたが、映画を定期的に取り上げる番組は限られているので、それ以外の人気番組などで何とかその映画を取り上げてもらう為には、何かしらの“ネタ”が必要になります。

 例えば映画に出ている主演俳優・女優や監督などが来日した際に、番組のタレントとからませる、インタビューする、などの企画がうまく成立すれば、人気番組で作品の宣伝をすることが可能になります。また作品に関して、何かしらの話題(来日記者会見を行なったとか、イベントに参加した等)があればそれをスポーツ新聞等に掲載してもらい、それを朝のワイドショー番組の「記事受け」のコーナーで紹介してもらうなんてことも重要になってきます。つまりとにかく何とか少しでも自社の映画の宣伝をTVで行なってもらおうというのがTVパブリシティのテーマなのです。
 尚、こういったTVパブリシティの際には“お約束”として、映画会社が用意する「抜き焼き」と呼ばれる映像素材を流してもらうことになっています。この「抜き焼き」とは、映画会社が見せたいシーンを数十秒単位から1分単位ぐらいで数シーン抜き出したものです。その中からおまかせで公開表記とともに流してもらうのです。

 やはり映画ですから、例え数秒でも映像を流してもらわなくては意味がありません。大抵の場合は数十秒ぐらいしか映像は流れないのですが、作品によって特集的に扱ってもらえたりして、数分間流れるなんてこともあります。TVスポットが概ね15秒ということを考えると、単純な費用対効果は(視聴率にもよりますが)お金には変えられない効果を発揮します(中には効果に関して疑問のものもありますが、少なくとも作品を認知させるという意味では重要です)。これらのことを踏まえてTVを見てみると、きっといろんなところに何かしらの作品のTVパブリシティがあることに気づくことでしょう。

 次回はパブリシティに関しての締め括りとしてのネット媒体などの新しい媒体に関して述べたいと思います。長くなりましたがどうか最後までお付き合いください。
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