パブリシティとは?(最終編)

 さて前々回、前回と紙媒体やTV媒体に関して、パブリシティというものがいかなるものなのかということをお話させて頂きましたので、パブリシティの持つ意味や重要性がお分かり頂けたのではないかと思います。今回は締め括りとして、新しい媒体に関してのパブリシティについてお話させて頂きたいと思います。

 真っ先に思いつくのはやはり“インターネット”でしょう。沢山の人の目に触れることが宣伝というものの第一歩ですから、そういう意味では、日本でもここ数年で急速に普及したネットは非常に宣伝に適した媒体であると言えます。
 最近ではパソコンの低価格化、通信料の大幅値下げ、高性能な携帯電話端末の登場で携帯からネット接続が出来るようになったことなどで、ネットがより身近な存在になりました。それ故、ネットにおけるパブリシティが重要性を増してきています(ネット情報を参考にして映画を決めるという人の割合は現在はまだ少ないらしいのですが)。

 ネットにおけるパブリシティは、基本的には雑誌におけるパブリシティと非常に似ていると言えます。それぞれのサイトをひとつの雑誌と考えれば、映画専門サイトは映画誌、総合情報サイトは情報誌、女性専用サイトは女性誌といったようにまさに雑誌に映画が取り上げられるのと同じように、それぞれのサイトで写真付きで映画を紹介してくれています。

 雑誌と大きく異なるのは(サイトにもよりますが)、そのまま予告編の映像を見ることができたり、最新情報を新聞以上のスピードですぐにアップすることです。また、中身をもっと知りたければ、そのままその映画のオフィシャルサイトへジャンプして詳細を知ることなども可能なので、興味を持ったユーザーにうまく行けば更に興味を持たせることが出来る拡張性があり、非常に奥行きが深いのです。
 しかし興味を促す為には、他のパブリシティ同様たくさんの露出がなければ意味はありません。現在、映画を紹介しているサイトは大小併せてかなりの数があります。そして日に日にその数は増えています。勿論アクセスが集中しているサイトはその中でも一部ですが、パブリシティという意味ではとにかく数を出すことを心がけないといけません(それでもネットの世界ではごく一部になってしまうのですが)。

 最近ではコンテンツをより充実させる為に@nifty(アット・ニフティ)のような大手プロバイダやYahoo!(ヤフー)などが映画コンテンツを相次いで設け、映画の特集をスタートさせ始めました。これらはアクセスが多いサイトですので、今まで以上のネットパブリシティの効果が期待できるようになりますし、現在急速に浸透しだしたブロードバンドにより、動画コンテンツとしての映画の需要は間違い無く高まるでしょう。そうなった時は今以上のパブリシティ効果が期待できる媒体に成長するはずです。現に携帯端末での動画配信も実験がスタートしていますし、ブロードバンドを利用したネット試写会なども実施され始めています。

 お金をかけないパブリシティを実現できるのもネットの素晴らしいところです(最も大きなキャンペーン展開などになってしまえば、それなりの金額が絡んできてしまいますが…)。そもそもネットは潜在的に口コミを広めやすい媒体でもあるので、うまく機能すれば本当に純粋にネットから火がつき、ヒットする映画も生まれるかもしれません。各社それぞれ知恵を絞り、様々なアイディアを出してネットを有効活用していくことでしょう。皆さんもこれからのインターネットの動向、そしてネットと映画の関係というものを興味深く見守っていって頂きたいと思います。
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