EPKとは?

 今回のテーマの“EPK”とは、一般の方にはほとんど聞き慣れない言葉だと思いますが、これは“Electric Press Kit”の略称で、映画の宣伝用の映像素材が1本にまとまったもののことを指します。
 EPKは日本で制作するものではなく、アメリカで既に制作されたものが全米での公開直前や直後くらいのタイミングで日本に送られてきます。基本的な構成は、予告編、ビハインド・シーン(メイキング・シーン)、スタッフ&キャスト・インタビュー、シーンの抜き焼き…といったものになっています。映画によってミュージック・プロモーションのようなものがある場合には、それが巻末に収録されたりもします。

 EPKは放送局で主に使用されているβ-CAM(通称ベーカム)に収録されていますので、一般の家庭などで見ることは出来ませんが、地上波やBS/CSなどの映画情報番組などでは、EPKからビハインド・シーンやスタッフ&キャスト・インタビューの一部をオンエアすることが多いので、皆さんもEPKの映像を目にしたことはあると思います。

 やはり、映画の宣伝において映像を見せるということは何よりも重要であり、更にその映画のビハインド・シーンや出演者のインタビュー映像というのは、その映画に興味を持つ人達にとってはより興味を促す材料になることは間違いありません(キャストのインタビューは、もしそのキャストが来日し、そこでのインタビュー収録が可能ならばその方がより良いのですが、全てのキャストが来日する訳ではないので、EPKの需要も大なのです)。
 ビハインド・シーンにしても、スタッフ&キャスト・インタビューにしても、そのままでは内容が分かりませんので、オンエアする場合には、特にインタビューなどは翻訳して字幕を入れるといった作業をしないとそのままでは使えないのです。翻訳に関してはインタビュー内容など英語の台本がある場合にはそれを単純に日本語訳すれば良いのですが、無い場合はヒアリングをしてから翻訳するという風に作業が多くなり、時間がかかってしまいます。

 今までは、EPKに収録されている内容を一般の方が目にする機会は、その一部を映画情報番組で見るしかありませんでした。しかし、最近では誰もが、ほぼその中身の全てを見ることが出来るようになっています。勘の良い方ならもうお分かりかもしれませんが、それは映画のDVDが発売される時に収録される(されないものもありますが)“特典映像”です。

 この特典映像に収録される映像の大半は、EPKに収録されているものと同じになり、オリジナル(アメリカ)予告編、ビハインド・シーン、スタッフ&キャスト・インタビューが収録されています。オリジナル予告編には字幕が入っていないものが大半ですが、それ以外には字幕がちゃんと入っています。また、抜き焼きはただ単にシーンを抜いてあるだけなので収録されることはありません(DVDにはチャプター[見出し]機能もあるので)。

 確かにこれらの映像が丸々見られるのは、映画の劇場公開時ではなく公開約半年後のDVD発売を待たなくてはいけませんが、DVDの普及により低価格にてこれらが自宅で見れるようになったのは映画ファンにとってはたまらないことだと思います。EPKの中にミュージック・プロモーションがある場合などは、それもDVD特典映像として収録されます。
 ただ、最近の特典映像の凄いところは、EPKにも入っていないような特別な映像や音声が、DVD用に収録されているというところです。映像としては、未公開シーンやプロモ・ムービーのようなものがあったりもします。音声としては、主に監督が映画全編を音声解説(オーディオ・コメンタリー)するというものが最近の主流として収録されています。

 また日本版独自のものとして、日本の劇場予告編や、来日記者会見の映像などが収録されることも多いので、映画ファンの方やもの凄くお気に入りの映画がある方などは、今後のDVDそしてその特典映像を詳しくチェックして見ると良いと思います。映画好きにとっては、本当にいい時代になりましたね!
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