来日プロモーション(2)

 前回“来日プロモーション”に関しての概要をお話しましたが、今回はその補足といいますか、裏側の部分に関して、お話したいと思います。

 来日プロモーション時には当然、日本側のスタッフが入国時から帰国時までアテンド(付き添い)をすることになるので、成田空港までスタッフが俳優を出迎え・見送りにいくことになります。一口に出迎え・見送りといっても、その時間帯はまちまちで、深夜や早朝のこともあったりするので結構大変です。

 成田までは、プライベートジェットあるいはファーストクラスに搭乗して来るので、一般の方が騒ぐとかいうことはないのですが、空港の出入口に関してはどうしても一般の方と同じになってしまうので、人によっては騒ぎになってしまう場合があるのです。
 基本的にマスコミに対しては“空港取材”といって、入国時の模様を取材してもらうことが多いので、来日の日時などを事前にお知らせしています。従っていわゆる“出待ち”のカメラマンやテレビカメラが待ち構えているのは当然なのですが(そのような状況から察するからなのか? どこからか情報が漏洩する為なのか?)何故か一般の方(それもファンらしき人たち)が待っているのです。これは本当に不思議ですね。

 そういう人達が多かったり、更にその場にたまたま大勢の人が居合わせたりすると、「誰が来るの?」といった感じで大騒ぎになってしまうのです。実際にはすぐに送迎のリムジンに乗り込めるようになっているので、入国してから車に乗り込み出発するまでの約10分間ぐらいがスタッフたちが一番緊迫する(俳優に一般の方を近づけないようにしなくてはなりませんので)時間なのです。無事に俳優が車に乗り込んで出発すると本当に一安心という感じです。

 俳優の関係者の数は本当にまちまちで、大体はエージェント(日本でいうマネジャーですね)や映画のプロデューサーなど4~5人ぐらいの場合が多いのですが、大物になると家族や友人、ボディガードなどを引き連れてくることもあり、本当に御一行様となります。そんな場合はアテンドが本当に大変になりますね。
 最近の東宝東和の例ですと、ブルース・ウィリスやシュワルツェネッガーはプライベート・ジェットで来日しての御一行様でした。エドワード・ノートンは日本語が喋れるからか、なんと一人で来日しましたし、ハーレイ・ジョエル・オスメントはお父さんと家庭教師の人と一緒でしたね。つい最近来日したアンジェリーナ・ジョリーは、ご主人のビリー・ボブ・ソーントンとラブラブでの来日だったのが非常に印象的でした。本当に来日のスタイルは様々です。

 また実際に俳優やその関係者が宿泊するホテルに関しても常に細心の注意を払います。俳優などへの対応が慣れているホテルとなると、過去の実績などからも本当に限られてしまうので、ほとんどの場合には由緒があって格式があるホテル(帝国ホテル・ホテルオークラ等)の利用が多いです。更にクレームなどが出ないようにしなくてはいけませんので、当然一泊数十万円はする“スィートルーム”に宿泊してもらうことも当たり前になっています(勿論関係者の方が宿泊するところはスィートではなく少しランクを落としてもらいますが)。中には俳優たちが前回来日した際良かったからとか、人から聞いたりして、“○○ホテル”にしてくれといったリクエストが来ることもあります。

 とにかく滞在中には常に細心の注意を払い、リクエストにはなるべく答えるようにしてトラブルが無いように気をつけているのですが、それでも実際は大なり小なり何らかの予期せぬトラブルが発生してしまうので、帰国するまでは本当に気が気ではありません(最近の例ですと、アンジェリーナ・ジョリーは滞在中に対米同時多発テロが起きた為、帰国が予定日より2~3日ずれてしまいました)。
 滞在中、日中はほとんど仕事(インタビュー取材に応じる等)でホテルに缶詰状態なので、その夜や帰国前にオフの日があったりする場合には、観光やショッピングなどの為に実際に街に繰り出すことも多いようです。勿論、そんな場合でも日本側スタッフがアテンドすることがほとんどなのですが、中にはアテンドはいらないといって、自分達で勝手に行動してしまう人もいるのです…(ブリジット・フォンダはヘアー・スタイリストが何と日本人でしたので、帰国前に彼の実家があるという山形の温泉に行ったようです)。

 …というように、皆さんが映画の中で見た俳優たちが実際に、お忍びでいろんな所に顔を出すというケースもありますので、ラッキーな人は、もしかしたら思わぬところで憧れのハリウッドスターを見かけるなんてことがあるかもしれませんね!
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東宝東和株式会社