ビデオ&DVD

 映画好きな方たちにとってみれば、やはり映画は劇場の大きなスクリーンで観る方がいいと思うのが当然だと思います。それは当然映画会社に勤める私たちにとっても同じですし、逆にそういう方が多くなって頂かないと非常に困ります(笑)。

 映画ビジネスというものをトータルで考えた場合に、劇場公開終了後に発売されるビデオやDVDというのもまた非常に重要なウェイトを占めています。何故なら、特大ヒット映画などを除いて大半の映画は、劇場公開時の収入(配収)だけでは、宣伝費やプリント費、そして買い付け費用などを回収すら出来ないことが多く、(良い場合でも回収してプラスマイナスゼロとか若干のプラス)、劇場公開だけだと赤字のことが多いのです。

 そういった部分を補うのが、映画の2次使用であるビデオやDVDであり、3次4次的な使用であるCS/BSやテレビ放送なのです。ひらたくいえば、これらによってようやく利益が生み出されるというビジネススタイルになっており、特大ヒットすればした分だけ利益が生まれ、大コケすればするほど全てを持ってしてもまだ赤字なんてことも十分に有り得るのです。

 さて今回のテーマであるビデオやDVDですが、通常は大体映画公開時から6ヶ月後という目安で一般発売されることになっています。つまり例えば6月公開作品なら12月発売ということになります。
 しかし最近は、たまにではありますが話題作が異例のスピードで公開後3ヶ月~4ヶ月なんていうタイミングで発売されるというケースもあります。要するに、実質的にビデオ発売しようと思えば劇場公開後2~3ヶ月で発売することは不可能ではありません。
 ですがもし映画がまだ劇場公開されているのに(東京では終了していても地方ではまだ上映していることは結構あるのです)DVDなど発売してしまうと、当然興行成績に大きな影響を与えてしまいますので、6ヶ月という保護期間が設けられている訳ですね。ただこれは通常の場合であって、大ヒットロングランをするような映画(今なら『千と千尋の神隠し』(01)など)においては、劇場公開から6ヶ月という目安は当てはまらないことになります。

 一方で、DVDはビデオに付随するものなので、大体はビデオに併せて同じタイミングで発売されることが多く、会社によってはビデオより1ヶ月遅れるという会社もあります。これは各社の戦略によるところ(DVDを際立たせる等々)もあるとは思いますが、ビデオの制作に比べて、DVDの制作は3倍程度余分に作業が必要(特典がついてくるので)になってくることも関係してくるのだと思います。

 ですので、もしお気に入りの映画がいつぐらいにビデオ&DVD発売されるか知りたい場合は、あくまで目安ですが、公開の6ヶ月後と考えてもらえば良いと思います。そして劇場公開時には“日本語吹替版”が無かった映画でも、大体の場合には吹替版を一緒に発売しますので、字幕はどうも苦手という方でも大丈夫です。
 今まではやはり誰もがハードを持っているということや、レンタルビデオ店の普及もあり、ビデオの需要というものが圧倒的でしたが、昨年発売されたDVD再生機能を有したPS2(プレイステーション2)の発売あたりから徐々にDVDが普及し始めて、DVDプレイヤー&DVDソフトの低価格化、DVD搭載パソコンの登場など諸々の追い風を受けて、最近は一気に浸透し需要が高まってきたという感があります。

 映画ファンの方にとってみれば、低価格(高いものも例外的にあります)であり、以前お話したような様々な映像特典がついており、更にかつてのLDほど場所をとらないなど非常にメリットがあるので当然かもしれません。最近多い2枚組で3,800円なんていう金額だとお気に入りの映画ならついつい買いたくなってしまいますよね。

 尚、TSUTAYAチェーンを筆頭に近年DVDレンタルを行なう店舗が多数出て来ました。DVDレンタルであればビデオとは違って何度借りられても画質や音質の劣化が無いので、いつでもクリアな状態で映画を観ることができます。将来的にはビデオレンタルよりも主流になっていくかもしれませんね。
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