シネコン |
普段、皆さんが行く映画館がシネコンだという人が最近は多いのではないでしょうか? もはや一般にもシネコン(シネマコンプレックス)という言葉は確実に定着してきているかのように思います。シネコンとは、ご存知のように館内に複数のスクリーン(大小併せて概ね5~10スクリーンぐらい)をもつアメリカ生まれの複合映画館のことを指します。 |
シネコンは従来の都市部の映画館とは異なり、郊外にショッピングセンターなどを併設しています。車で行けるなど交通の便が良いということや、複数の作品を上映しているので、何かしら観たい作品を必ず観ることが出来る(立ち見がない)、サービスが豊富などの理由によりこの3~4年で全国に急速に普及してきました。 日本でのシネコン第1号である「ワーナーマイカルシネマズ海老名」が1993年に開業するまでは、日本での映画館数(スクリーン数)は減少傾向にあったのですが、外資系企業がこれを機に日本市場に目を向け始めてからは、上記のワーナーマイカルシネマズチェーンやUCIチェーン、AMCチェーン、ヴァージンシネマズチェーンが全国にシネコンを展開し、それに呼応して既存の興行会社などもシネコンを展開し始めました。これによって一気に持ち直し、映画館数(スクリーン数)が増加致したのです。 シネコンが普及する前は全国での興行収入は全国9大都市でのロードショーと、それ以外のローカルと呼ばれる地区での比率が大体6:4ないしは7:3ぐらいが当たり前という都市部中心の興行でした。現在はシネコンの影響によりローカルの興行収入が増えたので、その比率が逆転してきています。つまり、それだけシネコンのウェイトが大きいということなのです。 このことは、今ではどの映画館でも当たり前になったレディースデーというものが、元はシネコン独自で行なわれていたサービスで、それを既存館がお手本にしたということからも良く分かります。立ち見がないとか、座席がゆったりしている(カップホルダーがついている)なんていうこともシネコン独自のものでしたので、最近既存館がそれに習うような傾向もあります。シネコンの顧客サービスとの格差が生まれることを既存館が恐れた訳ですね。 |
シネコンは、ヒット作品に対してそのスクリーン数を生かし柔軟な編成を組むことが出来るので(つまり大ヒットした作品は座席数が多い劇場に変更できる等のことです)、観客にストレスを感じさせることがないというのも普及の一因なのでしょう。 またここ最近になって特大ヒット作品が多くなってきている背景には、確実にシネコンの増加によって、それまであまり映画館に足を運ばなかった人々が観客として掘りおこされ、増加したことも大きな理由だと思います。つまり現在はシネコンでの成功が、ロードショーと同等ぐらい重要となるので、宣伝もシネコンにうまく作品を組み込んでもらい動員してもらうことを心掛けなくてはなりません。これも各映画会社にとっては非常に重要な戦略になってきています。 シネコンの登場は、映画館のサービス向上をもたらし映画人口を増加させることに大いに役立っています。ただ昨今は、いよいよシネコンが既存館に非常に近い都市周辺部に多数進出してきたこともあって、既存館VSシネコン、シネコンVSシネコンが生き残りをかけて客を取りあい、凌ぎを削るような状況になっているところもあるので、今後のシネコンはかなり大変なことになってくるかもしれませんね。 |
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