映画とインターネット

 つい2~3年ほど前までは、映画の宣伝をインターネットを使って行なう映画会社はごく一部の存在でしかありませんでした。ですが最近は劇場公開作品のほとんどが公式サイトを持ち、それをネット宣伝の核として、そこからネットユーザーに対しても情報発信を行なうことが、もはや当たり前になっています。

 この“映画業界の豆知識”を読んで頂いている方も、当然ネットを使われている訳ですので、恐らくこうした公式サイトを何度か訪れたことがあるのではないでしょうか? こうした公式サイトの存在意義というものは、その映画に興味を持った人たちが公式サイトにアクセスすることによって、よりその映画に対しての興味を深め、劇場に足を運んでもらうということにあります。
 勿論映画の内容を知るだけであれば、TVの映画紹介コーナーでも雑誌の特集記事でも良い訳ですが、ネットであればそれらを上回る情報量を自分が知りたい時に知りたいことだけピックアップすることが出来るので、興味を持って訪れた人に更なる観賞意欲を起こすことが出来るのです。

 ただ重要なのはネット以外の媒体でしっかりその映画のことを宣伝していなければ(例えばTVスポットがたくさん流れているなど)、当然その映画のことを認知してくれませんので、いくら公式サイトを設けても一向にアクセス数が伸びないということにもなってしまいます。

 また、公式サイトのアドレス(多くは映画名を使用した独自ドメインですが)まで知っているという人も少ないと思われますので、興味を持った人たちをしっかりと公式サイトに導く為にも、Yahoo!などの代表的検索エンジンにサイト登録をしていないと効果は半減してしまいます。さらに、当然ネットを使った連動キャンペーンを行なうことによって公式サイトへの誘導(リンク)を図るというのも同じネットなので、非常に効果的になります。
 しかも、こうして公式サイトを訪れた人たちを飽きさせてしまっては何の意味もありません。公式サイトでは文字だけでなく、FLASHなどを多用した動きのある作り、そしてメール配信、壁紙やBBS(掲示板)などの映画の観賞前後の付加サービスを設けて一度ではなく何度も足を運んでもらい、興味を深めてもらうようにしているのです。

 しかし、映画というものにとって一番有効なのは、やはり今まで劇場でしか観ることの出来なかった予告編を自宅にいながらにして観ることが出来ると言うことに尽きるのかもしれません。少し前はこの予告編も画質の悪いものを何分もかけてダウンロードして、その上更に小さな画面でしか観ることが出来ないという非常にストレスの多いものでした。これは日本の通信環境がネット先進国のアメリカなどと比べて立ち遅れていたことによりますが、日本も昨年から急速にADSLを中心としたブロードバンドが一般家庭に普及しましたので、以前とは異なりほとんどストレスを感じることなく良い画質の予告編を観ることが可能になってきています。

 今後は予告編が映画館だけでなくネット上でも更に重要になってくると思います。また、以前では話題性の意味合いが非常に強かった来日記者会見などのライブ中継やEPKなどのインタビュー的な映像が、ブロードバンドの普及によって今後は公式サイトの重要な動画コンテンツとして当たり前のように備わり、公式サイトもブロードバンド化していくことになりそうですね。そうなれば、映画宣伝におけるネット媒体は従来の媒体以上に効果を発揮する存在になっていくと予想されます。

 今まであまり公式サイトを訪れたことが無いという人も、今後は公式サイトに是非足をお運び下さい。思いも寄らない情報を誰よりも早く手に入れられるかもしれません。
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